雨水浸透・貯留機能の高い植栽基盤を用いた外構創出技術「T-GI rain garden」を開発

都市部の緑地を活用してグリーンインフラを創出

2022年9月7日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、雨水浸透・貯留機能の高い植栽基盤材を用いた外構創出技術「T-GI rain garden」を開発しました。本技術により、都市部における水害を抑制し、緑地創出による多様な機能を発揮するグリーンインフラ※1の整備が可能となります。

 近年の異常気象の増加などに伴い、河川の氾濫や都市部での水害が多発するようになり、従来の河道内※2における対応だけでなく、流域全体での治水対策が求められています。その対策の一つとして、自然が有する多様な機能をインフラ整備に活用するグリーンインフラの取組みが進められており、都市部では雨水を浸透させ一時的に貯留する機能を備えた緑地としてレインガーデン※3などが整備されてきています。しかし、従来のレインガーデンでは雨水を地中に浸透させる際、多くは浸透性の高い砂利のような基盤材を用いており保水性が低いため、基盤材に植栽することが困難で緑地面積が狭くなることや、植栽可能であっても生育できる植物が限られてしまうという課題がありました。

 そこで、当社は、雨水の浸透性と貯留性を併せ持つ新しい植栽基盤材を用いた外構施設創出技術「T-GI rain garden」を開発し、その有効性を実証試験により確認しました。

「T-GI rain garden」の特徴は以下の通りです。

  1. 1

    雨水の浸透・貯留機能に優れた基盤材を実現
    保水性に優れた多孔質な火山砂利を採用すると共に、土壌中の空隙を確保するために粒径の異なる火山砂利を適切に配合した素材を用いることより、雨水の浸透性と貯留性に優れた基盤材を実現しました。

  2. 2

    基盤材に直接植栽可能で、植栽範囲を拡大(図1参照)
    従来技術は基盤材に砂利など浸透性のみに優れ、貯留性(保水性)の低い素材を用いていたため、植栽には適していませんでした。新規開発の基盤材を用いることで雨水を浸透させるだけでなく、土壌中に貯留(保水)できるため、基盤材に植栽することが可能となり、レインガーデンの範囲を拡大できます。

  3. 3

    降雨時に敷地からの雨水流出量のピークの低減・遅延が可能(図2、3参照)
    降雨の際、敷地から流出する雨量のピークを低減・遅延させる効果(実測例では雨水流出量のピークを約85%低減し、屋内試験ではピーク発生時間を35分後から60分後まで遅延)を有し、都市部で発生する水害の抑制に貢献することが可能です。

  4. 4

    様々なタイプの植物を生育可能(写真1参照)
    基盤材が一時的に雨水を貯留するため、植物の生育環境として湿潤な環境からやや乾いた環境までの幅広い種類の植物を育成できることを確認しており、様々なタイプの緑地を創出することが可能です。

 今後、当社は、主に都市部における各種施設の外構緑地に対して本技術を積極的に提案し、グリーンインフラを活用した防災・減災および生物多様性の向上に貢献してまいります。

図1 雨水の浸透・貯留および植栽範囲の拡大イメージ
図1 雨水の浸透・貯留および植栽範囲の拡大イメージ
図2 敷地からの雨水流出量抑制効果(実測例)
図2 敷地からの雨水流出量抑制効果(実測例)
図3 開発した基盤材と砕石の雨水貯留性能比較(屋内試験値)
図3 開発した基盤材と砕石の雨水貯留性能比較(屋内試験値)
晴天時
晴天時
写真1 屋外試験区での実証試験状況
降雨時
写真1 屋外試験区での実証試験状況
  1. ※1

    グリーンインフラ:
    社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能(防災・減災、生物の生息・生育の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制等)を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取り組み。

  2. ※2

    河道内:川の流れるエリア、堤防がある場合は、堤防と堤防に挟まれた空間のこと。

  3. ※3

    レインガーデン:
    地上に降った雨水を下水道に直接放流することなく一時的に貯留し、ゆっくり地中に浸透させる構造を持った植栽空間。雨水流出抑制効果に加え、水質浄化、修景・緑化、ヒートアイランド現象の緩和などの効果が期待できる。