環境省の「令和4年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に「地域循環型共生圏」の構築に向けたリニューアルZEBモデルの実証事業が採択

2022年8月22日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、この度、環境省が実施する「令和4年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(地域共創・セクター横断型テーマ設定枠【気候変動×建築】)」※1に応募し、当社横浜支店ビルでの「地域循環型共生圏」の構築に向けたリニューアルZEBモデルの実証事業が採択され、環境省・横浜市と連携して本事業を開始いたしました。

 2021年10月に政府が公表した「第6次エネルギー基本計画」において、「2050年に住宅・建築物のストック平均でZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す」と示されました。これを受け、新築工事に加え、既存建築物の改修工事によるZEB化の推進を図ることがカーボンニュートラル達成のための重要な取り組みと位置付けられました。
 また、環境省より2018年4月に公表された「第五次環境基本計画」では、「地域循環共生圏」という概念が示され、各地域の特性を活かし、脱炭素かつ持続可能で強靱な活力ある地域社会を構築することも、早期の脱炭素社会の実現に向け極めて重要であると位置付けられています。

 このような中で当社は、これまで培ってきたZEB関連技術を基盤として、横浜支店ビルでの「地域循環型共生圏」の構築に向けたリニューアルZEBモデルの実証を推進することとし、本事業がこの度、環境省が実施する首記事業に採択されました。
 リニューアルZEB化を推進する本事業の技術開発・実証内容は以下の通りとなります。

表1 技術開発・実証の概要(図1参照)

技術開発・実証課題、目指す効果

実施内容

A1:カラーガラスを使用した高意匠高性能な建材一体型太陽光発電システムの開発
⇒ 創エネ技術の用途拡大

  • 太陽電池セルが目立ちにくい建築用カラーガラスを外装に採用することで、意匠性を向上させながらも、発電効率を黒色ガラス同等以上とするカラー太陽電池モジュールを開発
  • その効果を既存建築物壁面に大面積で実装、検証

A2:普及型ビルマルチを活用した省エネ制御システムの開発及び人検知センサによる空調照明制御システムのリニューアル工事用の開発とローコスト化
⇒ 省エネ技術の用途拡大、最適化

  • 人検知センサと連動した最適運転制御システムを ローコスト化及び省工事化し、改修工事を最適化
  • 更に、普及型空調機であるビルマルチを活用して 中小ビルに展開できる省エネ制御システムを開発

A3:グリッドと協調した再エネ活用マネジメントシステムの開発
⇒ CO2マネジメントの仕組みを構築

  • 需要予測、発電予測、設備運転最適化によりCO2排出量の最小化を図る
  • AI、クラウドを活用し自己託送やグリッド協調による地域再エネを含めて最適配分計画を策定
  • 上記より、追加性のある再エネに対応可能なエネルギーマネジメントシステムを構築
図1 横浜支店ビルでの「地域循環型共生圏」の構築に向けたリニューアルZEBモデルの実証事業概念図
図1 横浜支店ビルでの「地域循環型共生圏」の構築に向けたリニューアルZEBモデルの実証事業概念図

 今後、当社は本事業での成果をもとに、建築物および地域との連携による「リニューアルZEB」に関する技術とノウハウを蓄積し、「リニューアルZEB」の事業化による普及拡大を図り、2050年の脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

  1. ※1

    「令和4年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の『地域共創・セクター横断型テーマ設定枠「気候変動×建築」』:環境省から下記のような「気候変動×建築」に資する技術の開発・実証を重点的に支援する事業の公募が行われました。

    • 建材一体型太陽光発電システムの実用化や性能向上等、更なる再エネ導入の拡大
    • ストックの省エネ改修技術の開発
    • エネルギーの使用状況を把握し、見える化や診断等のフィードバック
    • 建築物の快適性や生産性を確保しつつ、機器・設備について最適な運転の支援を行うエネルギー管理システムの導入促進
    • グリッドと協調することで電力消費を効率化し、調整力を提供することにより地域の再エネ導入拡大に寄与するビル等の開発