ページの先頭になります。

ページ内を移動するためのリンクです。

高温排気ガスの拡散状況予測技術を開発

建物周辺の安全性や住環境に配慮した合理的な排気計画の策定が可能

2022年6月20日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、オフィスビルなどに併設されている非常用発電機等から発生する高温排気ガスの拡散状況を高精度に予測できる技術※1を開発しました。これにより、建物周辺の安全性や住環境(温度や窒素酸化物(NOx)の濃度等)に配慮した合理的な排気計画の策定が可能となります。

 近年、高層オフィスビルやマンション等では事業継続計画(BCP)対応や災害対策の強化に伴い、建物で活用する非常用発電機の大型化が進んでいます。非常用発電機から排出されるガスは高温かつNOx等の大気汚染物質を高濃度に含むことが多いため、建物や人体への影響を抑える場所への煙突設置や排気方向の設定など排気計画が重要となっています。(図1参照)これまでの最適な排気計画の立案では、高温排気ガスが周囲に及ぼす影響を数値解析により検討してきましたが、従来の解析技術※2は室外機・ボイラなどの中低温(50~100℃程度)の排気が対象となっており、非常用発電機等による高温の排気ガス(500~700℃程度)は、密度が大きく変化するため、拡散状況を高精度に再現できないという課題がありました。
 そこで当社は、建物近傍に設置する非常用発電機等から発生する高温排気ガスの拡散状況を高精度に予測可能な解析技術を開発し、排気計画技術の確立に向け、実大実験や従来技術との比較により本技術の予測精度を検証し、その有効性を確認しました。

 本技術の特徴は以下のとおりです。(図1、図2参照)

  1. 1

    高温状態での排気ガスの拡散状況を高精度に予測可能
    本技術は、機械分野でエンジン内部の高温噴流解析等で用いられる熱流体解析技術※3を応用し、高温状態での排気ガスの拡散状況を高精度に予測することが可能です。
    また、本技術および従来技術を用いて、大型発電機の煙突から排出される高温排気ガスの温度や濃度を、発電機から約1.5~3.5m離れた地点の高さ約5~8mで実測して把握するとともに、排気ガス温度について解析を実施した結果、本技術が高温排気ガスの拡散状況を高精度に予測できることが実証されました。

  2. 2

    合理的な排気計画の策定が可能
    高温時の密度変化による影響を考慮した解析技術を用いて、非常用発電機の高温排気ガスの拡散状況を事前に予測することで、建物の屋外換気口からの室内流入防止、外壁・ガラス等の損傷防止、人体や周辺建物への影響等に配慮した安全な発電機の設置場所等、合理的な排気計画の策定が可能となりました。

 今後、当社は、高層のオフィスビルや商業施設、ホテル、病院等で災害対策などに用いられる大規模な非常用発電機の設置に際して、本技術を建物周辺の安全性と住環境に配慮した合理的な排気計画技術の策定に活用してまいります。

図1 高層建物に隣接して計画された発電機煙突による高温排気ガス状況と周辺への影響
図1 高層建物に隣接して計画された発電機煙突による高温排気ガス状況と周辺への影響
図2 発電機による実測を再現したシミュレーション例
(発電機から高温排気ガスが定常的に排出された場合の排気ガスと壁面近傍の平均的な温度分布)
図2 発電機による実測を再現したシミュレーション例
(発電機から高温排気ガスが定常的に排出された場合の排気ガスと壁面近傍の平均的な温度分布)
  1. ※1

    本技術は、東京大学生産技術研究所大岡龍三教授との共同研究により開発。

  2. ※2

    従来技術は温度変化による密度変化を考慮することができず、高温ガスに働く浮力を温度差に比例する力で近似している。そのため、密度変化が大きい場合には誤差が大きくなる。非常用発電機のような高温排気ガスの場合、温度変化による密度変化を考慮できる本技術の適用が必要である。

  3. ※3

    機械分野においてエンジン内部の高温噴流解析等で用いられ、高温排気ガスの温度による密度変化を再現し、空気中や近接物の温度分布などを算出。