工事進捗や資機材の保管状況を図面表示するシステムを開発

撮影動画を基にAIで自動認識させ、施工管理業務の省力化・効率化を実現

2022年5月17日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、360度カメラで撮影した動画を基に、工事の進捗状況や工事用資機材の保管場所をAIで自動認識させ、図面に描画するシステムを開発しました。本技術の図面表示機能を用いることで、施工状況と使用資機材の所在を簡単・明確に把握できるようになり、建設工事における施工管理業務の省力化・効率化が可能となります。

 これまで建設工事における施工管理業務では、日々現場内を巡回し、工事の進捗状況を図面に記載して実施しており、特に、高層ビルなどの大規模現場では内装工事の進捗に係る図面作成に多大な時間と労力を要していました。また、建設現場では仮設資材や高所作業車など数千点にも上る多種多様な資機材を使用しており、現場内に点在する資機材を迅速かつ正確に管理することが施工管理業務の省力化・効率化に繋がることとなります。
 そこで、当社は、これらの課題を解決するため、現場巡回時に360度カメラで撮影した動画をAIで分析することで、内装工事における壁・天井などの施工状況および工事に使用する各種資機材の保管場所を自動認識し、図面上に表示するシステムを開発しました。

 本システムの特徴は以下のとおりです。

  1. 1

    現場を巡回するだけで工事進捗、資機材をAIで自動認識し、図面に描画
    現場内にあらかじめ図面位置情報を登録した2次元コードを1フロアあたり数ヶ所設置し、スマートフォン専用アプリで位置情報を読み取ったのち、現場内を360度カメラで動画撮影しながら巡回します。その後、撮影された動画から壁・天井工事などの内装工事および資機材をAIで自動認識し、専用アプリによる位置測位の結果を組み合わせることで、各工事の施工状況と資機材位置を同時に図面上に反映することができます。また、各種資機材の名称を検索することにより、その保管場所が図面上に表示され、所在を簡単に把握することができます。(図1参照)

  2. 2

    現場の施工状況についてリモートによる確認が可能
    撮影された動画は撮影場所と紐づけて本システムに記録されるため、図面位置を指定することでその場所における施工状況をリモートで360度確認することができ、工事関係者とのスムーズな合意形成や情報共有、現場確認作業の負担軽減につながります。(図2参照)

 現在、本システムは当社建築現場のDX標準基盤「T-BasisX※1」および四足歩行ロボットによる建設現場の遠隔巡視システム「T-iRemote Inspection※2」との連携を進めており、今後、当社は、四足歩行ロボットが現場担当者の代わりに現場内を巡回する際に本システムの活用により、工事進捗など施工管理のさらなる省力化・効率化を図り、建設工事のDX化推進に貢献してまいります。

図1 本システム概要
図1 本システム概要
図2 動画撮影位置の図面表示と画像による施工状況リモート確認
図2 動画撮影位置の図面表示と画像による施工状況リモート確認
  1. ※1

    T-BasisX:
    当社が株式会社インフォキューブLAFLA、PicoCELA株式会社、西尾レントオール株式会社の協力を得て構築した、現場内でインターネット環境を網羅的にカバーするメッシュWi-Fiと従業員の作業状況を把握する「IoT活用見える化システム」を一体化した建築現場におけるDXの標準基盤であり、着工から竣工までの現場内における各種データの収集・分析により、建築現場におけるDXを加速させ、生産性向上を図ることができます。

  2. ※2

    T-iRemote Inspection:
    当社とTechShare株式会社が共同で開発した、建設現場における品質や安全の確認などを遠隔で行えるシステムです。本システムを搭載したの四足歩行ロボットは、安価でコンパクトながら優れた運動性能を備えており、日々変化する現場環境に柔軟に対応できるため、現場管理の効率化が可能となります。