大きな締結力を得られる新たなセグメント継手「タイテン継手」を開発

止水性・施工性の向上と作業の簡略化による工期短縮、コスト削減を実現

2021年12月9日
大成建設株式会社
ユニタイトシステムズ株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)とユニタイトシステムズ株式会社(社長:橋本潤)は、シールドトンネル工事において、セグメント同士を確実かつ容易に締結できる新しい継手技術「タイテン継手(Tighten joint)」を共同で開発しました。本技術の導入により、継手部の止水性と施工性を向上させ、また作業を簡略化することが出来るため、工期短縮とコスト削減を実現できます。

 近年、大都市では豪雨に伴う局所的な浸水被害を軽減するため、地下河川、放水路などの雨水貯留管シールドトンネルが建設されており、今後も多くの工事が計画されています。これらのシールドトンネルは満水状態で運用される場合が多く、内側から水圧が作用してトンネル壁面の円周方向に引張力が生じます。そのため、セグメント継手部に締結力を加え継手部に設置された止水材を確実に圧縮状態で封じ込め、止水性を確保する構造とすることが求められます。しかし、従来の継手技術では、ボルト・ナットの孔芯調整や締結などを手作業で行うことから、締結力を均一に管理することが困難なため大きな締結力を加えることができず、また、締結後にボルト周辺をモルタル充填するなどの後施工が必要となり、作業工程が長期化するなどの課題がありました。

 そこで、当社とユニタイトシステムズ(株)は、モーター駆動機械の減速機などに用いるスクリュー状の歯車「ウォーム」と歯車ナット「ウォームホイール」からなるギアに継手ボルトを組み合わせた「タイテン継手(Tighten joint)」を開発しました。本継手は、セグメント組立時に大きな締結力を確実かつ容易に加えることが可能で、後施工などの作業も簡略化できる構造となっています。(図1、2参照)また、本継手を配置した実物大セグメントを用いて、組立時の施工性や所定の締結力検証に係る各種試験を行い、本継手が所定の強度・剛性を有することを確認しました。(図3参照)

 本技術の特徴は以下のとおりです。

  1. 1

    独自機構で継手ボルトに与える締結力を調整可能
    ウォームを回転させて所定のトルクを発生させることにより、ウォームホイールにはさらに大きなトルクが作用します。ウォームホイールが回転することで継手ボルトが引き寄せられ、大きな締結力が得られます。これにより、止水材を圧縮状態に維持できるため、継手部の止水性が向上します。さらにセグメント組立後に、増締めや緩めるなど締結力の調整が可能であり、施工性に優れた構造です。

  2. 2

    作業の簡略化により工期短縮とコスト削減が可能
    ウォーム表面孔を閉塞するだけで覆工の内面を平滑にでき、セグメント締結後にボルト周辺を充填するなどの後施工が不要で作業の簡略化が可能となり、工期短縮とコスト削減を図れます。

  3. 3

    合成セグメント(HBセグメント)の適用範囲を拡大
    これまで複数の大規模な雨水貯留管工事において、当社が独自開発した鋼材型枠内部にコンクリートを充填して製造される合成セグメント(HBセグメント)を適用しており、本継手を導入することでその適用範囲をさらに広げることができます。

 今後、当社とユニタイトシステムズ(株)は、内側から水圧が作用する地下河川や放水路などの雨水貯留管に対して、本継手を活用した工法を積極的に提案してまいります。

図1 タイテン継手の構造概要
図1 タイテン継手の構造概要
図2 タイテン継手を用いたセグメントの施工手順
図2 タイテン継手を用いたセグメントの施工手順
図3 タイテン継手を用いた実物大セグメント 各種試験状況
図3 タイテン継手を用いた実物大セグメント 各種試験状況