グリーンボンド(第40回無担保社債)発行に関するお知らせ
2021年11月12日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、保有施設の省エネ化リニューアル、再生可能エネルギー事業への投資及び脱炭素関連の技術開発投資を使途とするグリーンボンド(大成建設グリーンボンド)の発行(以下、本発行)を予定しておりますのでお知らせいたします。
本発行の目的及び背景
当社は、「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念のもと、自然との調和の中で建設事業を中核とした企業活動を通じた良質な社会資本の形成に取り組むことを、環境方針に定めています。また、中長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」において、「持続可能な環境配慮型社会の実現」に向けた4つの社会(脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会、安全が確保される社会)を掲げており、脱炭素社会に関して2050年の事業活動におけるCO2排出量実質ゼロを目指しています。
当社グループが中長期的に目指す姿として定めた「TAISEI VISION 2030」の実現に向けて、中期経営計画(2021-2023)では3年間で集中的に取り組むことを重点課題として特定しており、また、サステナビリティ関連では「カーボンニュートラルに向けた取り組みの加速」や「環境・社会課題の解決に向けた技術開発の推進」等を設定しています。
これらの背景から今般、当社はグループの環境課題への取り組みについて幅広いステークホルダーの皆様に一層ご認識いただくとともに、脱炭素社会の実現に資することを目的として、グリーンボンドの発行を予定しております。
今後、当社は本発行とその活用により、引き続き「持続可能な環境配慮型社会の実現」に向けた事業活動を推進してまいります。
本発行の概要
名称 | 大成建設株式会社第40回無担保社債 |
---|---|
発行総額 |
100億円(予定) |
発行年限 |
5年(予定) |
発行時期 |
本年12月頃(予定) |
資金使途 |
|
主幹事 |
野村證券株式会社(事務)、みずほ証券株式会社 |
SA※3 |
みずほ証券株式会社 |
当社は、グリーンボンド発行のために国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則(Green Bond Principles)2021」及び環境省の「グリーンボンドガイドライン 2020年版」に即したグリーンボンド・フレームワークを策定しました。
グリーンボンドに対する第三者評価として、株式会社日本格付研究所(JCR)より、当フレームワークが「グリーンボンド原則2021」及び「グリーンボンドガイドライン 2020年版」に適合する旨のセカンドパーティオピニオンを取得しており、また、同社の「JCRグリーンボンド評価」において最上位評価である「Green 1」の予備評価を取得しています。
資金使途の概要
- ①
保有施設の省エネ化リニューアル
当社は、2014年に技術センターZEB実証棟の建設・運用を開始し、建物で消費する年間エネルギー収支ゼロを達成するなど、これまで新築・既存建築物におけるZEB化技術の蓄積・向上を推進してきました。
そして今般、改修工事におけるZEB化技術と施工技術の更なる向上を図るため、当社グループが保有する以下の施設でリニューアルを実践し、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)のZEB認証を取得予定で、その改修工事に関する支出に、本発行による調達資金を充当する予定です。〔建物概要〕
物件名称 大成建設(株)関西支店ビル 大成建設(株)横浜支店ビル 大成ユーレック(株)川越工場 現状 所在地 大阪府大阪市中央区 神奈川県横浜市中区 埼玉県川越市中福
用途 事務所 事務所 工場・事務棟
構造種別 鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄骨造 階数 地下2階/地上9階 地下2階/地上9階 地上1階
延床面積 13,700m2 9,340m2 工場棟7,670m2・事務棟680m2
- ②
再生可能エネルギー事業への投資
中期経営計画(2021-2023)の重点課題「カーボンニュートラルに向けた取り組みの加速」において、事業活動によるCO2排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)に向け、当社グループの電力消費量を賄うことを目的に、再生可能エネルギー電源の保有に向けた取り組みを開始することを掲げています。この取り組みに関する太陽光発電施設および風力発電施設への投資に、本発行による調達資金を充当する予定です。 - ③
脱炭素関連の技術開発投資
中期経営計画(2021-2023)の重点課題「環境・社会課題の解決に向けた技術開発の推進」において、経済と環境の好循環により成長が期待される産業分野に貢献する技術開発に取り組むことを掲げています。そのうち以下の技術開発に、本発行による調達資金を充当する予定です。
- 1
洋上風力発電に関する技術開発
浮体式洋上風力発電に関する、浮体基礎の最適化を図るための要素技術や将来の量産化に向けた技術、浮体基礎建造後に関する一連の施工技術開発等に取り組む予定です。
また、着床式洋上風力発電に関する、設計・解析技術の確立や新たな下部構造の研究に加え、施工方法の検証等の研究開発を行う予定です。 - 2
カーボンリサイクル・コンクリートに関する技術開発
CO2を資源として回収し有効利用することで、CO2排出量を抑制する「カーボンリサイクル」への取り組みが進む中、当社は、さまざまなタイプの環境配慮コンクリートを開発し、資源の有効利用と脱炭素化に取り組んでいます。
製造時に環境負荷が大きいセメントの利用を減らすことによりCO2排出抑制を図ったコンクリート、並びにCO2を固定させた材料を練り混ぜることによりCO2の固定化に寄与するコンクリート等の実験研究や実証検討を行う予定です。また、製造過程のCO2の固定量が排出量を上回る「CO2排出量収支マイナス」のコンクリートに関する技術開発に取り組む予定です。 - 3
ZEB・省エネルギーに関する技術開発
当社は、これまでに様々な用途や規模の建物のZEB化を実現してきており、蓄積したZEBの実績を基に、脱炭素の推進に資する、さらなる技術の開発に取り組んでいます。
効率的な採光装置の開発や蓄熱建材活用、並びにそれらを融合した建物の省エネルギー化、ZEB化の推進にあたっての、自社施設での実証検討を行う予定です。また、エネルギー需給調整技術などの新たなニーズに対応した次世代高機能ZEBを実現するための技術等の開発に取り組む予定です。 - 4
水素利活用に関する技術開発
一般的な高圧ガス方式とは異なり、輸送・貯蔵時の安全性が高く建物や街区での活用が可能な低圧水素配送システムの輸送・管理に関わる技術開発や自社保有施設での試行適用を行う予定です。
- ※1
建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)のZEB認証
国土交通省が主導する新築・既存建築物の省エネルギー性能に関する評価・表示を第三者評価機関が実施する認証制度。国が定める計算方法に則りBEI(省エネルギー性能指標)値を算出し、その値によって☆の数が決定する。最高ランクの☆☆☆☆☆の中でも更に省エネルギー性能に優れた建物がZEB(『ZEB』、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Oriented)として認証される。 - ※2
ZEB(Zero Energy Building):ゼロ・エネルギー・ビル
「建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなる建築物」と定義されている。すなわち、建物で消費するエネルギーを極限まで少なくし、さらにエネルギーを創る設備を持つことで、年間エネルギー収支がゼロとなる建物のこと。 - ※3
SA:ストラクチャリング・エージェント
グリーンボンドのフレームワークの策定およびセカンドオピニオン取得の助言などを通じて、グリーンボンドの発行支援を行う者のこと