新接合法を活用した木質空間構成フレーム「T-WOOD® SPACE Light」を開発

木材利用の推進と環境負荷の低減に寄与する屋内木質空間を提供

2021年10月14日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、木質部材の新しい接合法を活用して屋内に短期間で空間構築を可能とする木質フレーム「T-WOOD SPACE Light」を開発しました。軽量な木質部材で構成されたユニットを金物を使わずに接合して使用することで、人力による運搬と施工が容易に行え、また、本技術の導入により、木材利用の推進だけでなく、製造時に二酸化炭素を発生する鋼材などの建築部材を使用しないことから、環境負荷低減にも寄与する木質空間を屋内に構築することが可能となります。

 建設業界では、脱炭素社会の実現に向け、成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収して炭素として貯蔵する木材や集成材などの木質材料の利用が進められており、中・大規模建築物の木造化や木質ハイブリット化のほか、内装の木質化などが注目されています。また、建築物のデザイン性や構造性能などの向上も図りながら、木材の量的・質的な利用を通して環境負荷を低減する取り組みを推進しています。

 そこで当社では、これらのニーズに応えるため、屋内に木材のみを使用した空間を構築する技術として、容易に運搬、施工でき、優れた構造性能を有する木質フレーム「T-WOOD SPACE Light」を開発しました。

 「T-WOOD SPACE Light」の特徴は以下のとおりです。(図1、図2参照)

  1. 1

    軽量な部材で構成され、人力により運搬可能
    梁や柱となる木質フレームを構築する軸材ユニットは、住宅の柱・梁に使われる中実断面製材※1の1/9程度の小断面製材4本を綴り材※2で接合した部材を基本構造とします。(図1参照)この軸材ユニットの場合、1mあたりの重量が2.4kgと軽量(中実断面製材重量の約1/2)であり、搬送・揚重機械を使用できない屋内でも、人力で長尺部材の運搬が可能です。

  2. 2

    新接合法により容易に組立可能
    本技術では軸材ユニット同士を3方向から差し込むだけで、剛強な嵌合接合が可能で、構造体を支える柱、梁を構築できます。部材の接合が簡単で、特殊な加工や接合金物が不要となり施工性が大幅に向上します。

  3. 3

    木材利用だけで優れた構造性能を発揮
    軸材ユニットの構成本数を増やすことにより柱や梁の構造性能を向上させることができ、最大スパン長※3が約8mとなる木質空間を構築することができます。

  4. 4

    一般的な製材や加工機を活用して製造可能
    軸材ユニットを構成する製材は、一般の木造住宅で使用される小断面の流通材であり、日本全国どこでも入手可能です。また、軸材ユニットの端部同士を差し込むだけの接合法により、高度なプレカット技術※4が不要となり、特殊な加工機を持たない製材所でも製造可能です。

 今後、当社では、新たな付加価値を有する屋内空間として「T-WOOD SPACE Light」の積極的な提案を進め、お客様に高性能で上質な木質空間と環境配慮型の構成フレームを提供することで、脱炭素社会の実現に向け貢献してまいります。

図1 新たな軸材ユニットと接合法
図1 新たな軸材ユニットと接合法
 図2 会議室スペースの試設計
図2 会議室スペースの試設計
(スパン7.2m、長さ7.2m、高さ3.0m)
  1. ※1

    中実断面の製材:製材所で処理した角材

  2. ※2

    綴り材:小断面の製材同士をつなぎ止める木材

  3. ※3

    最大スパン長:幅30mm×高さ45mmの製材(スギ)を5層に積み重ねた場合の試算

  4. ※4

    プレカット技術:特殊な機械を使って,木材を様々な形状に加工する技術