寸法の異なる荷物の出荷作業を自動化する多品種荷姿搬送システムを開発

工場・物流施設における搬送設備の低コスト化と省スペース化を実現

2021年9月2日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、名港海運株式会社(社長:髙橋広)と共同で、工場や物流施設において寸法の異なる荷物の荷揃えや搬送など出荷作業を自動化する多品種荷姿搬送システムを開発しました。本システムは、フリーローラー下に配置された駆動モーター付搬送台車1台だけで寸法の異なる荷物を個々に掴んで自動搬送を行えるため、搬送設備の低コスト化が図れます。また、荷物寸法に応じて、荷物間のクリアランスを最小限にまで詰められることから、省スペース化を実現できます。

 工場や物流施設から荷物を出荷する際、従来、トラック積載前に車両の大きさや荷物の積込方向に合わせ、フォークリフトを用いて荷物を集めて搬送準備を行う荷揃え作業を実施(図1参照)しているのが一般的でした。しかし、生産労働人口の減少や高齢化が社会問題とされる中、物流業界でも人手不足が深刻な課題となっており、近年、工場では荷揃え作業を自動化する搬送設備の導入が進んできました。荷物を自動搬送する場合、通常は駆動モーター付コンベヤを必要台数並べて対応(図2参照)してきましたが、この方式では寸法の異なる荷物があると、それぞれの寸法に合わせたコンベヤが必要となるため搬送設備のコストが高くなってしまいます。また、設備コストを抑制するため、最大寸法荷物の幅や全長に合わせてコンベヤを製作すると、荷物間のクリアランスや余分なコンベヤによる無駄なスペースが生じていました。

 そこで当社は、これらの課題を解決するため、従来のように荷物寸法毎に搬送ラインを設置して運用するのではなく、搬送車両の大きさに合わせてどのラインからでも寸法の異なる荷物の出荷作業を自動化し、また、搬送設備もこれまでよりも低コストかつ省スペースで実現可能な多品種荷姿搬送システムを開発しました。(図3参照)

 本システムの特徴は以下の通りです。

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    駆動モーター付搬送台車の導入により、低コスト化を実現(図4、写真1参照)
    本システムは、フリーローラー下に配置された駆動モーター付搬送台車が荷物の寸法に合わせて荷物を掴み、フリーローラー上を転がしながら搬送する仕組みです。駆動モーター付搬送台車1台で各搬送ラインの出荷作業を行えるため、従来のコンベヤ方式に比べて導入費用を約50%削減(重量2.5tonの荷物を最大12個荷揃えする場合)する低コスト化を実現しました。

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    搬送台車の自動制御により、省スペース化が可能
    搬送台車の自動制御により荷物間のクリアランスを最小限まで詰めることができ、従来のコンベヤ方式よりも荷揃え場所の省スペース化が可能となります。

 本システムは、名港海運西二区物流センター(南)に導入済み(写真2参照)で、今後、当社は施設内での搬送システムの省人化・自動化を実現する技術の一つとして、本システムを寸法の異なる荷物を扱う工場・物流施設へ提案してまいります。

図1 フォークリフトによる荷揃え作業
図1 フォークリフトによる荷揃え作業
図2 従来技術による自動化例(コンベヤ方式)
図2 従来技術による自動化例(コンベヤ方式)
図3 今回の開発品による自動化例(多品種荷姿搬送システム)
図3 今回の開発品による自動化例(多品種荷姿搬送システム)
図4 本システムの仕組み(荷物を搬送台車が掴んでフリーローラー上を転がす)
図4 本システムの仕組み
(荷物を搬送台車が掴んでフリーローラー上を転がす)
写真1 駆動モーター付搬送台車
写真1 駆動モーター付搬送台車
写真2 導入事例(名港海運西二区物流センター(南))
写真2 導入事例(名港海運西二区物流センター(南))