工場における局所排気技術「T-トルネード排気ユニット」を開発

工業機械から発生するオイルミスト等を効率良く捕集・排気し、室内空気環境を改善

2021年8月23日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、クリフ株式会社(代表取締役:藤本大輔)と共同で、工場内における工業機械などの生産機器から発生するオイルミスト等を含む汚れた空気を効率よく捕集して排気する局所排気技術「T-トルネード排気ユニット」を開発しました。 

 工業機械からオイルミスト等を含む汚れた空気が発生する工場では、適切な排気が行われない場合、室内の空気環境が悪化し作業者の健康リスクが高まります。そのため、排気により汚れた空気が拡散する前に、これらを効率良く捕集した上で排気する対策を講じる必要があります。
 生産機器等からの排気方法としては、機器にダクトを直接接続する方法やフードなどで覆うというような方法が従来から用いられています。しかし、これらの方法では生産機器の更新・移設に際してダクトなどの取外し作業が発生することや、機器自体をフードなどで覆う事により作業空間が制約されるなど柔軟な対応に欠けるという課題がありました。
 そこで当社は、生産機器に排気ダクトなどを接続することなく、汚れた空気を効率良く捕集して排気するため、ダクト中央部での排気とその周囲から円周状に空気を吹き出す給気を組合せることで、トルネード(旋回流)状態を発生させ、汚れた空気の排気効率を向上させた局所排気技術「T-トルネード排気ユニット」を開発しました。(写真1参照)

 「T-トルネード排気ユニット」の特徴は以下の通りです。

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    排気効率の向上により、室内空気環境を改善
    実機の製作・実験を行い、排気効率の測定を実施した結果、従来の排気口による排気 効率(約9%程度)と比較し、本方式では大幅な排気効率の向上(約75%程度)を実現できることを確認しました。その結果、室内空気環境が改善され、作業者の健康リスクの低減が可能となります。(図1参照)また、本技術は、工業機械のオイルミストの対応だけではなく、発煙や粉塵が発生する機械加工工場や水蒸気やパウダーを発生させる食品工場への導入・展開も可能です。

  2. 2

    作業空間や機器レイアウトに合わせて自由に配置可能
    排気ユニットは、天井から吊下げて設置するため作業空間との干渉がなく、生産機器との接続も不要なため、生産機器の更新・移設に際しダクトの取外し作業が発生しません。また、旋回流を発生させる場合、従来では対象機器を壁などで囲い、複数の気流装置を分散配置させるなどの対応が必要となりますが、本技術では単一機器で旋回流を発生させることが可能なため、作業空間や機器レイアウトに合わせて排気ユニットを自由に配置することができます。

 今後、当社は、工場等の新築・改修工事に際し、室内空気環境の改善を効率良く実現する排気技術として積極的に提案してまいります。

写真1 排気状況の比較(同一試験装置による検証)
写真1 排気状況の比較(同一試験装置による検証)
図1 排気効率の比較
図1 排気効率の比較