ページの先頭になります。

ページ内を移動するためのリンクです。

生産工場のエネルギー収支を評価する「ZEF」を定義

生産エリア内まで評価対象を拡げ、エネルギー消費量を適正に評価

2021年5月14日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、ZEB化が難しいとされていたエネルギー多消費施設である生産工場において、年間で消費する一次エネルギー収支ゼロを目指す工場を「ZEF」(Net Zero Energy Factory)と定義し、この度、工場全体を対象とした適正なエネルギー評価を可能としました。従来、ZEB評価対象外であった工場内の生産エリアにおける空調・換気・照明・給湯・昇降機などを評価対象に加えて、工場内で消費されるエネルギー量を適正に評価します。

 経済産業省は、2020年12月25日に公表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に関する政策※1の中で、CO2削減に向けた実施例としてZEB(ゼロエネルギービル)やZEH(ゼロエネルギーハウス)を取り上げています。当社は、2014年5月に業界に先駆け「ZEB実証棟」を完成させ、2015年5月から現在まで運用段階における『ZEB』を達成しています。また、2014年以降、多数の建築物の新築・改修にZEB技術を導入し、その普及拡大に取り組んできました。

 一方、エネルギー多消費施設である生産工場でのゼロエネルギー化の取組みでは、従来の建築物省エネ法※2に基づくZEB評価における対象範囲が事務室や倉庫等に限られており、工場内の大部分を占める生産エリアでの空調、換気、照明設備などのエネルギー消費が評価対象外とされていました。そのため、生産エリアが大部分を占める工場全体での一次エネルギー消費量の適正な評価が難しい状況となっていました。

 そこで当社は独自に、建築物のエネルギー消費に関係のない生産設備を除く工場全体の設備を評価対象として「ZEF」を定義しました。(図1参照)「ZEF」とは、工場全体の空調・換気・照明設備のスマート化などによる省エネルギーおよび再生可能エネルギー導入による創エネルギーによって、生産工場に必要な年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目指した工場と位置付けています。

 ZEFの特徴は以下のとおりです。(図2参照)

    1. 1

      工場内の評価対象範囲を拡大
      ZEF評価では、評価対象範囲として生産エリアを含めた工場全体の延床面積まで拡大することで、工場全体のエネルギー消費量を適正に評価できます。

    2. 2

      工場内の評価対象設備を拡大
      ZEF評価では、エネルギー消費量の評価対象設備として、生産設備を除き、従来評価と同じ工場内の事務所や倉庫の設備に加え、生産エリアでの空調、換気、照明設備などまで評価対象設備を拡大しており、工場全体のエネルギー消費量を適正に評価できます。

    3. 3

      ZEFチャートを活用した評価レベルの提示が可能
      ZEF評価では、工場内の評価対象範囲および設備から得られたエネルギー消費量の評価結果を基に、独自に作成したZEFチャートを用いて評価レベルを提示することが可能となります。そのため、エネルギー削減目標値の立案が容易となり、またZEFの評価レベルに応じた投資計画などを検討できます。

 「ZEF」の第一号プロジェクトとして、現在設計中のOKI本庄工場(図3参照)で「ZEF」を実現します。OKIはこの工場を、ローカル5Gの活用などにより同社の推進するManufacturing DX(マニュファクチュアリング・デジタルトランスフォーメーション)を実現するスマート工場と位置付けています。当社は開発済の独自技術で、生産稼働状況によって空調や換気、照明を制御して省エネを図る「T-Factory NEXT」や、屋根には太陽光発電設備を導入することで、設計段階で「ZEF(Nearly ZEF)」を達成しています。また、当社のエネルギーサポートセンターで、クラウドシステムを用いて工場内のエネルギーデータを遠隔監視・分析することで、運用段階での『ZEF』も目指していきます。(図4参照)

 今後、当社は生産工場でのカーボンニュートラルを加速させるため、「ZEF」の適用を推進するとともに、創エネルギー、蓄エネルギーの最適化技術やCO2を発生しない電源、工場木質化等を積極的に採用していきます。また、当社ではこれら取組みを総称して、「グリーンZEF」と位置付け、顧客に対して様々な提案を行い、普及展開を図ってまいります。

  図1 ZEFの定義とZEFチャート
  図1 ZEFの定義とZEFチャート
図2 ZEBとZEF評価対象範囲の違い
図2 ZEBとZEF評価対象範囲の違い
図3 OKI本庄工場外観パース(イメージ)※3
図3 OKI本庄工場外観パース(イメージ)※3
図4 導入予定の当社独自技術
図4 導入予定の当社独自技術
    1. ※1

      「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に関する政策:
      経済産業省は、本政策の中で「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策と捉え、CO2削減に向けた実施例としてZEB、ZEHを取り上げている。

    2. ※2

      建築物省エネ法:当該法の告示に基づき必要な数値を算出してZEB評価を行うが、告示では工場の「倉庫」と「屋外駐車場又は駐輪場」のみが対象となっており、倉庫で空調・換気設備が実装される場合でも「照明」のみが評価対象となっている。

    3. ※3

      OKIプレスリリース:災害対応や環境負荷低減に配慮した工場を埼玉県本庄市に新設(https://www.oki.com/jp/press/2021/02/z20117.html