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トンネル鋼製支保工の建込み工法「T-支保工クイックセッター」を開発

遠隔操作により、切羽近傍での作業効率と安全性を向上

2021年5月13日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、株式会社アクティオ(社長:小沼直人)と共同で、山岳トンネル工事において効率よく安全に鋼製支保工(以下、支保工)を建込む工法「T-支保工クイックセッター」を開発しました。(写真1参照)本工法の適用により、遠隔操作により切羽近傍での人力作業が不要となり、切羽から土砂・岩が剥がれ落ちる“肌落ち”による災害を防止することができ、支保工建込み作業の効率化と安全性向上が図れます。

 従来の支保工建込み作業は、オペレータによる支保工把持装置(以下、エレクター)の操作と作業員による人力での位置調整により実施されてきました。(写真2参照)その中でも、支保工の天端締結や位置合わせ作業は切羽近傍での作業となるため、作業員が肌落ち災害に巻き込まれる危険性が高くなる状況となっていました。

写真1 「T-支保工クイックセッター」による支保工建込み状況(トンネル外で実証中)
写真1 「T-支保工クイックセッター」による支保工建込み状況(トンネル外で実証中)
写真2 従来方式による支保工建込み状況
写真2 従来方式による支保工建込み状況

 そこで当社は、切羽に立ち入ることなく、遠隔からエレクター操作を行い効率よく安全に施工できる工法「T-支保工クイックセッター」を開発し、この度、国内道路トンネル建設現場において建込み作業の実証試験を行い、その作業効率と安全性を確認しました。なお、本工法は、当社が開発を進めているトンネル切羽作業の自動化・機械化の一つの要素技術に位置付けられます。

 本工法による作業手順、特徴および現場での実証試験結果は以下のとおりです。

【作業手順】
 建込み作業では、①建込機の準備・設置後に、②支保工同士の天端継手版を締結し、③ラインレーザーを用いて支保工建込み位置への誘導と、④位置の調整を行い、⑤位置確定させて建込みを完了します。(図1参照)

図1 本工法による支保工建込み作業手順
図1 本工法による支保工建込み作業手順

【特徴】

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    天端継手作業に、新開発ワンタッチ式継手ボルトとラインレーザーを用いて作業効率を向上(写真3、4参照)
    バネを組み込んだ爪構造のワンタッチ式継手ボルトを新たに開発し、一方の天端部に本ボルトを予め設置しておくことで、他方の支保工継手の孔に差し込んだ際に爪が開いて締結できる方式を採用しています。また、トンネル横断方向にラインレーザーを照射し建込み位置を見える化することで、エレクター操作だけで支保工の縦断方向位置を合わせることが可能となり、これら技術により作業効率の向上が図れます。

  2. 2

    施工状況をモニタリングカメラにより確認し、作業時の安全性を向上(写真5参照)
    天端継手板の締結やラインレーザーの状況を確認できるモニタリングカメラを作業用バスケットに設置し、切羽から10m程度離れたエレクター操作位置からでも施工状況を確認できるため、作業時における安全性の向上が図れます。

  3. 3

    専用機材不要で汎用性の高い建込み工法を実現
    ワンタッチ式継手ボルト、ラインレーザー及びモニタリングカメラは、現場導入されている既存エレクター搭載機器の種別に関わらず後付けできるため、汎用性の高い建込み工法として利用可能です。

【実証試験結果】
 トンネル工事現場での実証において、複数作業員間での作業内容の確認作業などが不要となり、オペレータ1名で作業に集中できることから、従来方式と比較して施工時間を約30%短縮できることが明らかになりました。また、従来は5名で行っていた支保工建込み作業を、切羽近傍に作業員が立ち入ることなく、オペレータ1名だけで安全に作業できることを確認しました。

 今後、当社は、山岳トンネル工事での支保工建込み作業の標準工法として、本工法の適用を推進するとともに、切羽作業の完全自動化・機械化に向け、更なる省力化と安全性向上に努めてまいります。

>写真3 ワンタッチ式継手ボルト
写真3 ワンタッチ式継手ボルト
写真4 ラインレーザーによる建込み位置の明示
写真4 ラインレーザーによる建込み位置の明示
写真5 機器設置状況
写真5 機器設置状況
  • 肌落ち災害:一般社団法人日本トンネル専門工事業協会アンケート(平成24年3月公表)をもとに、労働安全衛生総合研究所が平成12年から20年の44件の肌落ち災害について分析した結果、約4割が支保工建込み作業時に発生と報告されている。