AIを用いた高速・高精度な安全装備確認システム「T-iSafety Protection」を開発

入場時の正確な安全装備確認により、放射線被ばく管理を徹底

2021年4月13日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、株式会社IIU(代表取締役:宮健三)と共同で、除染や中間貯蔵施設関連工事で放射線被ばく管理が必要とされる作業において、作業員の入場時における画像データを基に、AIを用いて安全装備の装着を高速・高精度で確認できる「T-iSafety Protection」を開発しました。本技術は、音声や点灯による警告装置と連動させ、安全装備の装着状況を確認するとともに、不備の周知や記録画像・統計データの可視化の仕組みを導入することで、放射線被ばく管理を徹底することが可能となります。

 除染や中間貯蔵施設関連工事など放射線の影響を受ける作業では、除染電離則等に基づいた作業員の被ばく防止のための管理が必要となり、ヘルメット等の通常の安全装備に加え、防塵マスク、手袋の装着が必須となります。当社では、これまで入場前の朝礼時に作業員の安全装備を目視で確認してきましたが、休憩等で一時的に退出し再入場する際には、安全装備を確認する監視員の確保が別途必要になるという課題がありました。

 そこで、両社は、AIを活用し、正確かつ迅速に作業員の安全装備の装着を確認できる「T-iSafety Protection」を開発するとともに、音声や点灯による警告装置と連動させ、安全装備の不備と目視による人的ミスを低減する管理システムを構築しました。また、当社が福島県で施工中の中間貯蔵施設関連工事において、2020年10月より試験的に本技術の導入・運用を開始し、その有効性の確認と作業員の放射線被ばく管理の徹底を図りました。

 本技術の特長は以下のとおりです。

    1. 1

      高速・高精度な安全装備の確認が可能(図1、図2参照)
      カメラと高速・高精度に物体を認識できるAIの活用により、カメラの前で作業員が立ち止まることなく、通常の入場動作に対して、リアルタイムに高精度で作業員の安全装備の装着を確認することが可能です。

    2. 2

      警告灯と音声で不備状況をリアルタイムに警告
      物体認識AIの判定結果を基に、安全装備に不備がある場合は、警告灯に加え、「ヘルメットを装着して下さい」など具体的な不備の内容を音声で警告することが可能です。

    3. 3

      安全装備の不備状況を可視化(図3参照)
      作業員の入場毎に判定された結果は、画像とともにサーバーにアップロードされ、データベースに蓄積されます。Webアプリを用いることで、記録されたデータから過去の判定結果や画像に加え、装備品ごとの警告発報数や期間ごとの警告発報数の推移といった統計情報の可視化が可能です。

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      効果的な安全教育が可能
      安全装備の不備状況の画像やデータが記録されているため、不備事例として関係者間で周知することにより、効果的な安全教育を行うことが可能です。

 今後、当社は、除染や中間貯蔵施設の関連工事に従事する作業員に対し、安全装備の装着を正確に確認し、放射線被ばくを管理できる仕組みとして、各作業所への本技術の導入を進め、将来的には土木・建築工事などにも適用を図ってまいります。

図1 設置機材
図1 設置機材
図2 安全装備の確認状況
図2 安全装備の確認状況
図3 Webアプリによる可視化
図3 Webアプリによる可視化
  • 除染電離則:
    平成23年に厚生労働省が定めた「東日本大震災により生じた放射性物質で汚染された土壌等を除染するための業務に係る電離放射線障害防止規則」のこと。除染特別地域等内において、除染等業務従事者及び特定線量下業務従事者その他の労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするための事業者の責務を定めている。