高耐久木材保護塗料「T-WOOD® COAT」を開発

無機系塗料により耐久性を大幅に向上

2021年3月25日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、大成ロテック株式会社(社長:西田義則)、株式会社フェクト(社長:安田海人)と共同※1で、外装木材独自の意匠性を保持し、紫外線等に強い無機系材料を使用することで従来品よりも2~3倍程度の耐久性を確保し施工性に優れた高耐久木材保護塗料「T-WOOD COAT」を開発しました。

 近年、低炭素社会の実現を目的として、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(2010年)」の施行や、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2020年)」の策定などにより建築物の施工においても積極的な木材利用が推進されています。このうち外装材※2に木材を使用する場合では、紫外線による劣化を抑制するため一般的に木材保護塗料を使用していますが、塗料自体の劣化により、2~3年程度毎に定期的な塗り直しが必要となり、維持管理における塗料の耐久性などが課題となっていました。
 そこで、3社は、耐久性が高く、塗りなおし頻度の低減と木材本来の色味や木目など美観の長期的な保護を可能とする木材保護塗料「T-WOOD COAT」を開発し、促進耐候性試験※3によりその耐久性能などを検証しました。

 本塗料の特徴は以下のとおりです。

    1. 1

      高耐久性(写真1参照)
      本塗料は、紫外線による劣化に対して高い耐久性を持つ無機系材料を使用することにより、従来の有機系材料のみで構成されている塗料に比べ、耐久性を2~3倍程度に向上させることができます。また、木材保護塗料※4の規格に適合しており、耐候性やかび抵抗性等の性能も備えています。

    2. 2

      施工性(表1、写真3参照)
      従来の有機系塗料と同様に、ローラー塗りや刷毛塗りでの施工が可能です。また、乾燥時間が早いため、同日での2回塗りができ、施工時間の短縮にもつながります。さらに、劣化状況に応じたメンテナンス時の塗り重ねも容易に行うことができます。

    3. 3

      意匠性(写真2、3参照)
      半透明な塗料のため、木材本来の色味や木目を保持できます。また、顔料の変更のみで様々な色での着色を実現できるため、意匠性にも優れています。

 今後、3社は本塗料を高耐久な外装木材保護塗料として、木材を使用する学校や庁舎などの公共建築物等をはじめ、オフィスビルや店舗などの新築・リニューアルに幅広く展開し、低炭素社会の実現に向けた木材利用の促進を支援してまいります。

図3 適用範囲が拡大されたポストヘッドバーの種類
写真1 耐久性試験結果
表1 施工性の比較
T-WOOD COAT従来品
施工法 ローラー塗りや刷毛塗り ローラー塗りや刷毛塗り
乾燥時間

夏期:1~2時間程度
冬期:5~6時間程度

24時間以上が一般的
塗り重ね 可能 不可(塗膜タイプの場合)
写真2 着色バリエーション例
写真2 着色バリエーション例
写真3 塗装状況
写真3 塗装状況
    1. ※1

      大成建設:開発の全体統括と性能評価、大成ロテック:試験施工、フェクト:塗料製造

    2. ※2

      外装材:建物外側に配置する材料で、日光や雨風に曝される場合は補修のしやすさも重要となる。

    3. ※3

      促進耐候性試験:JIS K 5600-7-7(キセノンランプ法)は塗膜の耐久性能に関する試験であり、強い強度の太陽光に近似した人工光源としてキセノンランプ照射しながら断続した水の噴霧を行い、退色、塗装剥離、割れなどの劣化に対する抵抗性を評価する。

    4. ※4

      木材保護塗料:「建築工事標準仕様書・同解説JASS 18塗装工事」で規定される品質規格に適合した塗料。