AIを活用した設計支援システム「AI設計部長」の開発に着手

設計技術データベース構築により生産性向上の実現を目指す

2021年3月11日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、AIを活用した設計支援システム「AI設計部長」の構想をまとめ、本年度よりその開発に着手しました。本システムで構築される設計技術データベースを適用することで従来の設計業務が大幅に効率化され、お客様に対して高付加価値な提案を迅速化かつ的確に実施することが可能となります。また設計担当者の働き方改革を推進させ、生産性向上を図れます。

 現状の設計業務では、それぞれの設計案件で発生する、初期段階の与件分析、敷地に関する法律や条例情報整理、過去の事例検証などの定常業務に多くの作業時間を割いています。これらの業務は設計者が持つ知見やノウハウなどが共有されにくいため、過去の業務で蓄積した知見やノウハウの共有など、属人化されたデータを効率的に集約化し、併せて設計品質の維持・向上が強く求められてきました。

 そこで当社は、過去の設計業務を通じて蓄積した知見やノウハウを統合・集積した設計技術データベースを構築し、各設計担当者が抱える問題に対して、AIが最適な情報をデータベースから抽出することで、設計担当者の業務を支援するシステム「AI設計部長」の開発に着手しました。(図1参照)

 「AI設計部長」活用による効率化によって、お客様のニーズに対してより多くの検討を行い、魅力ある高付加価値な提案をスピーディーに行うことが可能となります。

図1「AI設計部長」概念図
図1「AI設計部長」概念図

 本システムは、次の3つのステップで構築し、AIを設計業務に活用しながら、段階的に開発を進めてまいります。(図2参照)

図2 開発レベルイメージ
図2 開発レベルイメージ

 今年度より取り組んでいるLevel-1では、設計分野毎に以下の機能について開発を進めています。

表1 AI設計部長に搭載予定の開発機能(Level-1)
分野機能概要適用で期待される効果
建築設計

基本設計・実施設計完了前の図面チェック機能:
過去の図面品質に関する指摘内容を AI により解析。

的確な指摘や注意点を提示し、問題課題を早期発見及び解決。

構造設計

初期段階の構造設計方針決定機能:
過去のデザインレビュー内容を AI により解析。

早期に構造設計方針決定し、手戻りなくかつスピードアップ。

設備設計

部屋毎の諸元表自動作成と仕様選定のアドバイス機能:
建築図から自動で室名抽出と面積算出を行い、対応する設備項目の参考値を提示。

諸元表作成の時間削減と属人化の低減。

 今後、当社は段階的な開発を進め、2023年度には設計技術統合データベースの構築を完了させ、統合型AI活用ツールとして、お客様に対しより魅力的な空間を提供するために、付加価値の高い設計提案と共に設計担当者の働き方改革を実現して参ります。

  • レコメンドツール=社員が抱える課題をAIが分析して、最適な情報を提示する