希少動植物の保全計画ツール「水辺コンシェルジュ」を開発
早期の合意形成に必要な情報を提示・共有
2020年11月19日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、建設工事に際し、水辺に生息する希少動植物の保全を目的として、代償地の創出を検討するなど、その保全計画の迅速な立案を可能とするツール「水辺コンシェルジュ」を開発しました。本ツールを導入したタブレット端末を用いて保全計画策定に必要な情報をビジュアルでわかりやすく提示することにより、関係者とのスムーズな合意形成及び情報共有を図り、適切な代償候補地の選定など早期に保全計画の立案が可能となります。
生物多様性条約※1や愛知目標※2の採択を受け生物多様性の重要度が高まるなか、建設工事にあたっては更なる希少動植物保全への配慮が必要となっています。特に建設事業地内に希少動植物が生息している場合には、代償地の創出や移植の時期などの検討をできるだけ早い段階から計画・立案し、関係者間で情報共有することが望まれています。
そこで、当社は独自のデータベースに基づき、保全計画に必要な情報を迅速に提供できるツール「水辺コンシェルジュ」を開発しました。本ツールは、建設事業が関わることの多い里山の水辺に生息する希少動植物を対象とし、保全に必要な日照、水域、土質等の環境条件や代償地などに関する生物専門家の知見を集積したデータベースを基盤としています。
「水辺コンシェルジュ」の特徴は以下の通りです。
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希少動植物の名称から計画策定に必要な情報をビジュアルに提示
希少動植物の名称を選択するだけで、代償地の創出などの計画に必要となる、水辺の環境条件や移植に適した時期などの情報を、生物の知識のない人にもわかりやすくビジュアルに提示します。 - 2
代償地として水辺を創出する候補地を適切に選定
代償地として水辺をつくる場合の適地を、地理情報などのオープンデータを用いて評価します。地形的要素や動植物の移入のしやすさ、維持管理のしやすさなどを考慮して、評価指標から選定し、定量的な評価を行います。これにより詳細な現地調査ができない場合でも、代償地として水辺を創出する候補地を適切に絞り込むことができます。 - 3
短期間で保全計画を立案
従来は現地調査や専門家へのヒアリングなどを行ったうえで保全計画を立案していたため、検討期間に1か月程度要していましたが、本ツールでは、およそ1週間で必要な情報を提供することができ、早期の保全計画立案が可能となります。
今後、当社は本ツールを自然豊かな地域における建設事業へ適用することにより、希少動植物の保全に積極的に取り組み、豊かな生物多様性を備えた社会の実現を目指してまいります。


- ※1
生物多様性条約(生物の多様性に関する条約):
生物多様性の保全やその構成要素の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を目的とした条約。1993年発効。 - ※2
愛知目標:
2010年の生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)で採択された自然と共生する世界を目指す国際目標。2020年までに生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急の行動を実施するという20の個別目標を定めた。