津波浸水解析結果の可視化技術「T-Tsunami Viewer」を開発

広域から街区までの津波の挙動を3次元映像に短時間で自動変換

2020年9月28日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、津波の浸水解析結果を短時間で3次元映像に自動変換し、浸水状況などを可視化する技術「T-Tsunami Viewer」を開発しました。これにより、広域から街区まで様々なスケールで津波の挙動を解析し、分かりやすく可視化することで、より効果的なBCPの策定を支援します。

 津波防災やBCPの計画段階において、津波浸水解析などに基づき対象区域の浸水範囲を可視化する技術などは必要不可欠な情報となります。従来の可視化手法(図1参照)では、2次元の色付き等深線を用いて地図上に津波による浸水深を表現し、色の違いや変化によって津波の波高や動きを確認していました。しかし、この方法では海岸に押し寄せる津波の挙動や浸水状況などを誰もが直感的に理解(イメージ)することが困難でした。
 また、CG技術を用いて、津波浸水解析結果を3次元でリアルに映像化する方法もありますが、その製作には専門技術や多くの時間を要し、CG製作過程で解析結果が強調され表現されるといった課題がありました。
 そこで、当社は、津波浸水解析結果に基づき、広域から街区まで様々なスケールで津波の挙動を短時間で正確に3次元映像やVR映像として自動作成する可視化技術「T-Tsunami Viewer」(図2参照)を開発しました。

「T-Tsunami Viewer」の特徴は以下のとおりです。

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    様々なスケールでの津波挙動を3次元映像として自動作成
    広域での可視化については、当社保有の津波浸水解析結果と地形データを読み込み、波の質感を加えた3次元映像を自動で作成することができます。また、街区においては、「粒子法」という最新の流体解析モデルを用い、複雑な市街地での段差の乗り越えや複数街路に対する流水の合流・分流などの複雑な流れを3次元映像として正確に再現することができます。

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    3次元映像などの活用により情報共有、合意形成を実現
    広域での津波発生・来襲から街区への侵入まで、様々なスケールにおける津波の挙動を3次元映像やVR映像として再現することにより、関係者間で情報を共有し、合意形成を図ることができ、有効なBCPの策定が可能となります。

 今後、当社は、現在保有する各種の津波解析技術および今回開発した津波浸水解析結果の可視化技術「T-Tsunami Viewer」を、津波の来襲や浸水などが予想される沿岸域の自治体や、工場などの施設を持つ企業に対して積極的に提案してまいります。

図1 従来の可視化事例
図1 従来の可視化事例
広域(沿岸域)での表示例 街区での表示例
図2 3次元映像「T-Tsunami Viewer 」による津波浸水解析結果の可視化事例
  • 粒子法:
    波や構造物が仮想粒子でできていると想定して計算する解析手法。仮想粒子はそれぞれ自由に動くことができ、波しぶきが上がりまた海面に吸収される様子や構造物に亀裂が入り破壊する状況などを正確に表現することができる。
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