超高集積・高発熱サーバーに対応する液浸冷却システムを開発

データセンターの高密度化、省スペース化、省エネ化を実現

2020年7月14日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(代表取締役社⻑:相川善郎)は、株式会社RSI(代表取締役:杉浦日出夫)および篠原電機株式会社(代表取締役社⻑:篠原基一郎)と共同で、超高集積・高発熱サーバーに対して優れた省エネルギー性能と高い冷却能力を備えた液浸冷却システムを開発し、今後、データセンターへの実装を開始いたします。本システムを適用することで、施設の高密度化、省スペース化、省エネ化が可能となり、本格的な5G、IoT・AIの普及に対応する情報・通信インフラを実現することができます。

 昨今のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、データセンターでは高度な情報処理を行うサーバーの設置台数が増えると共に、単位面積当たりの電力消費量が増大し、冷却能力の更なる向上が必要不可欠となっています。しかし、従来の空気による冷却方式(空冷方式)を使い高度な情報処理に対応するためには、一層のスペースの増大と空調エネルギーの増加を招くことから、抜本的な解決策が求められてきました。
 そこで、当社ほか2社は、液体の持つ熱搬送能力に着目した国産の液浸冷却システム「爽空solaTM※1を共同開発し、実証試験により本システムをデータセンターに適用した際の性能を検証しました。

本システムを適用したデータセンターの特長は以下のとおりです。

  1. 1

    サーバーの高密度化を実現
    液浸冷却槽1槽で50kWの冷却能力(空冷方式での一般的な冷却能力は1ラック当たり5kWで、その10ラック分に相当)を有するため、超高集積・高発熱サーバーに対して高密度化して運用することが可能となります。

  2. 2

    省スペース化によりデータセンター小型化を実現
    従来のように空気の流れを考慮したラック配置が不要となり、サーバー室面積の約90%削減による省スペース化が可能となり、データセンターの小型化を実現できます。

  3. 3

    省エネ化で電力消費量を大幅に低減
    空冷方式と比較して冷却エネルギーを約90%削減することが可能となり、電力消費量を大幅に低減できます。

 2019年度より着手した液浸冷却システムの実証試験において、本システムの適用により、データセンターで当初想定した上記の諸性能を発揮できることを確認し、さらに空冷方式に比べ冷却時の機械音が削減され、静音性に優れた快適なサーバー室環境を構築できることが明らかになりました。

 今後、当社は、大量のサーバーを運用するデータセンター事業者や自社サーバー室を保有する企業に対し、本システムの実装を提案してまいります。また、5G通信基地局や自動運転システムなどの大量データを扱う情報・通信インフラ、VR/AR、eスポーツ・オンラインゲームなど、あらゆる分野においても導入・実用化の可能性を追求し、加えて排熱の温水利用など更なる環境配慮に向けた性能向上にも取り組んでまいります。

液浸冷却システム「爽空sola™」の構成図
液浸冷却システム「爽空solaTM」の構成図
データセンター内での本システム設置イメージ (前列:液浸冷却システム「爽空sola™」 後列:空冷方式システム)

データセンター内での本システム設置イメージ
(前列:液浸冷却システム「爽空solaTM」 後列:空冷方式システム)

  1. ※1

    液浸冷却システム「爽空solaTM
    大成建設(株)、(株)RSI、篠原電機(株)が共同開発した国産の液浸冷却システムで、サーバーを丸ごと液体に浸して冷却する。液浸槽に特殊冷媒を満たし、サーバーから熱を奪った冷却水を循環ユニット(ドライクーラー)で冷やして再供給する。冷却能力は液浸槽1台当たり約50kWで、冷却能力が1ラック当たり5kW程度の空冷方式に比べてサーバーを高密度に実装できる。