意匠性に優れた木材利用耐震構法「T-WOOD® BRACE」を開発

新築・改修工事に適用

2020年4月3日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、集成材・CLT※1などの木質系材料と鋼板を組み合わせ、意匠性と構造性能を兼ね備えた耐震構法「T-WOOD※2 BRACE」を開発し、建物の新築・改修工事への適用を開始しました。

 従来、耐震建物では、鉄骨ブレースや鉄筋コンクリート壁を設置して耐震性能を確保してきましたが、これらの耐震部材は意匠性に乏しく、見た目が画一的な印象になりがちでした。また、既存建物に耐震部材を新たに設置する補強工事においても、建物の意匠性が損なわれることがありました。

 そこで、当社は、鋼板を斜め格子状に組んだブレース(以下、鋼板ブレース)の枠内に、集成材・CLTなどの木質系材料を配置して意匠性を向上させた耐震構法「T-WOOD BRACE」(図1参照)を開発しました。また、本耐震構法について構造実験および解析を通じ構造性能を検証の上、日本建築センターの構造評定を取得し、米原市統合庁舎の新築工事(図2参照)および当社技術センター本館の改修工事(図3参照)に適用しました。

 本耐震構法の特徴は以下のとおりです。

  1. 1

    優れた意匠性を備えた構法
    鋼板による斜め格子の角度・間隔と木質系材料の形状・配置との組み合わせが可能で、デザインの自由度が高い耐震構法です。

  2. 2

    木材により構造性能を確保
    配置された集成材やCLTが鋼板ブレースの圧縮強度を高める座屈補剛材の役割を果たし、従来の耐震部材と同等の構造性能を確保しています。

  3. 3

    木材利用を促進
    鉄筋コンクリート造や鉄骨造の新築・改修工事などに適用可能で、国産・地域産の木材利用により、温もりある木質空間の創出とともに、地域産業の振興や森林保全に貢献できます。

 今後、当社は、本耐震構法をはじめとした独自の木材利用技術「T-WOOD」シリーズのさらなる普及・展開を通じ、国産木材の利用促進に貢献するとともに、安全・安心で利用者が親しみや温もりを感じられる建物を提供してまいります。

図1  T-WOOD BRACEの意匠例
図1  T-WOOD BRACEの意匠例
図2 適用事例(米原市統合庁舎新築工事・竣工イメージ)
図2 適用事例(米原市統合庁舎新築工事・竣工イメージ)
図3 適用事例(当社技術センター本館改修工事)
図3 適用事例(当社技術センター本館改修工事)
  1. ※1

    集成材・CLT:
    集成材は木材から切り出したひき板を繊維方向が平行となるように積層接着した材料、一方、CLT(Cross Laminated Timber、直交集成板)はひき板を各層ごとに直交するように積層接着した材料です。一般に前者は線材として、後者は面材として利用されます。

  2. ※2

    T-WOOD:
    当社が開発・提供する、木造・木質建築のための技術ラインアップ。現代の建築物に求められる性能や経済性を満たし、新築工事から改修工事まで幅広く対応できる技術を揃えています。