鋳鉄製免震エキスパンションジョイント「TH-SLIDER」を開発

重車両上載可能な剛性と耐力を有し、安全性と施工性を実証

2020年4月1日
大成建設株式会社
日之出水道機器株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)と日之出水道機器株式会社(社長:浅井武)は共同で、車両総重量25tの重車両を上載可能で、安全性や施工性などに優れた鋳鉄製免震エキスパンションジョイント「TH - SLIDER」を開発しました。

 免震建物と地盤の隙間を繋ぐ部材として広く利用されている免震エキスパンションジョイント(以下、免震Exp.J.)は建物廻りの段差レベルを解消する跳ね上げ式が一般的ですが、昨今頻発する大規模地震において免震Exp.J.の可動時の安全性や可動後に元の位置に戻らない残留変形が課題となっています。また、建物の床面を滑動する免震Exp.J.は、歩行者などの軽量な荷重に対応した様々な製品が多数存在します。しかし、総重量25tの重車両などの上載荷重に対応した製品・事例はほとんどなく、このような車両の通行には、十分な耐力を確保するために製品の厚みを増さなければならず、その結果、建物床面との間に大きな段差が生じることから、使用時に支障をきたす可能性がありました。
 そこで両社は、高い剛性と耐力を有し、安全性、施工性などを備えた新たな滑動式の鋳鉄製免震Exp.J.「TH - SLIDER」を開発しました。(写真1参照)また、振動台を用いた実証試験により、本製品が免震エキスパンションジョイントガイドライン((一社)日本免震構造協会2013年4月発行)の規定を満たす性能を有することを確認しました。

「TH - SLIDER」の特徴は以下の通りです。(図1、図2、図3参照)

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    地震後においても性能を維持し、継続使用が可能
    地震時の跳ね上がりや地震後の残留変形の残らない滑動式を採用しており、常に性能が維持されます。また、地震時や重車両の通過時でも部材本体に過度な変形や損傷が生じず、常に健全性が確保されます。さらに中央の篏合接合部により部材長の調整が可能となり、免震建物とその周囲にある基礎構造物の間に設けられた様々な間隔のすき間に対して柔軟に対応できます。

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    利用者の安全性を確保
    鋳鉄を採用して部材厚さを薄くすることで段差を抑え、通行しやすくなっており、車両や車椅子利用者などに配慮した形状となっています。また、部材の表面にマンホール蓋等で採用されている耐スリップデザイン(日之出水道機器独自技術)を適用し、スリップ防止機能を設けるなど、優れた安全性を有しています

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    施工性を向上
    建物床面端部に据え付けた凹部材に板状部材端部の凸部をはめ込んで設置する、簡単な仕組みとなっており、施工性が向上します。

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    生産コストを削減
    鋳型を用いて大量生産が可能なため、従来の免震Exp.J.に比べ生産コストを3~5割程度削減することが可能です

 今後、両社は、本製品を地震時における事業継続計画(BCP)や安全対策が求められる避難施設、物流倉庫、病院などに対して広く適用を図ってまいります。

写真1 使用状況(振動試験時に本製品を3枚並べた状態)
図1 免震Exp.J. 1枚あたりの概要・寸法
図2 1枚当たりの全体イメージ  図3 滑動イメージ