技術センターZEB実証棟を「人と空間のラボ」としてリニューアル

新技術とAI・IoTを活用し、ZEBとウエルネスの機能をさらに向上

2020年2月17日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、技術センター(神奈川県横浜市戸塚区)のZEB実証棟を、新技術とAI・IoTの活用により、ZEBとウエルネスの機能をさらに向上させ、新たに「人と空間のラボ」としてリニューアルしました。

 2014年に竣工したZEB実証棟は、オフィスとして利用しながら導入した省エネルギー技術や太陽光パネルによる創エネルギー技術の検証を行い、ビル単体での年間エネルギー収支ゼロを竣工以来5年間達成して続けています。また、2019年5月には建物・室内環境評価システムの最高位となる「WELL認証・プラチナ(新築/既存建物全体)」※1を世界で初めて取得し、建物の環境性能と執務者の健康増進が両立可能であることを示しました。

 そして、この度、ZEB実証棟は、経済性を考慮した更なるエネルギー性能の向上と、健康経営時代に相応しいオフィスへの進化など、次世代の執務環境を目指したリニューアルを実施し、新技術とAI・IoT を活用したZEBとウエルネスの機能を同時に実証する「人と空間のラボ」として生まれ変わりました。

 今回の主なリニューアル状況は以下の通りです。

  1. 1

    新たに高効率の創エネ・省エネ技術を導入し、ZEB機能を向上(写真1参照)
    経済性とエネルギー性能の向上を目指し、壁面での太陽光発電パネルによる創エネルギー量の高効率化、建物外装の高断熱化、空調・照明の高効率化を実施しました。

    新規導入・更新設備期待される効果
    高効率壁面太陽光発電パネル※2への更新

    創エネルギー量を向上

    高断熱・高性能ガラスへの更新

    建物熱負荷を低減

    高エネルギー効率型ビル用マルチエアコンの追加

    空調エネルギーを削減
    高効率LED照明器具への更新 照明エネルギーを削減
     
  2. 2

    AI・IoTの導入により執務者の多様な働き方をサポート(図1参照)

    当社が開発した執務者毎に所在位置を高精度に特定できる技術『T-Zone Saver® Connected』や、IoTセンサとクラウドで取得・集約した環境情報・位置情報・執務者個別情報から執務者の利用状況に応じて最適な空間に誘導する『T-Workstyle Concierge』など、AI・IoT技術を活用した以下のような仕組みの導入により、ZEBとウエルネスとをつなぐことで、多様な働き方をサポートします。

    サポート機能AI・IoTと連動する基本情報
    事前申告による個人毎照明、空調自動制御(複数人在所時は平均値で制御)

    執務者の所在情報、好みの照明・空調情報
    (左記の制御条件は調整可能)

    空調の温度制御(申告傾向を反映)
    (複数人在所時は平均値で制御)

    スマートフォンにより執務者個別に寒暖を申告

    (左記の制御条件は調整可能)

    照明の明るさ・色味の自動調整 供用ゾーン毎のサーカディアンリズム※3情報
    建物内環境情報の見える化 IoTセンサーでの温湿度、明るさ、騒音等環境情報
    最適なワークプレイスへの誘導 環境情報、執務者・物品位置情報、執務者個別情報
     
  3. 3

    ウエルネス・オフィスで“いきいき働く”環境を提供(写真2参照)
    「WELL認証・プラチナ(新築/既存建物全体)」取得時に評価された健康増進や快適性などの取り組み項目を踏まえ、オフィス内の改修や什器などを導入し、さらに“いきいき働く”環境を提供します。

    改修・更新什器期待される効果
    水面等自然をモチーフした室内壁面アート

    気分転換、ポジティブに気分を高揚

    屋外・歩行者の視線遮断シェルフスクリーン

    視線を遮断し、開放感と集中力を両立

    自由に組合せ、カスタマイズ可能なデスク 執務者の業務効率化、ウエルネス向上
     

 今後、当社は、「人と空間のラボ」でZEBとウエルネスの両面からの検証を更に進め、都市部の建物でのZEB普及、AI・IoTを活用した新しい働き方の支援サービス、ウエルネス・オフィスの普及拡大を目指してまいります。

写真1 高効率壁面太陽光発電パネルへの更新
写真1 高効率壁面太陽光発電パネルへの更新
図1 IoTセンサ・クラウドにより執務者の多様な働き方をサポート
図1 IoTセンサ・クラウドにより執務者の多様な働き方をサポート
写真2 「人と空間のラボ」内のウェルネス・オフィス
写真2 「人と空間のラボ」内のウェルネス・オフィス
  1. ※1

    WELL認証・プラチナ(新築/既存建物全体):
    米国・健康建築性能評価制度「WELL Building StandardTM」における、空間のデザイン・構築・運用に「人間の健康」という視点を加え、より良い住環境の創造を目指した評価システム。建物の環境・エネルギー性能に加えて、居住者の健康・快適性に焦点を当てた世界初の建物・室内環境評価システムであり、特に居住者の身体に関わる評価ポイントについては、環境工学の観点のみならず医学の見地から検証が加えられている。WELL認証では、建物用途別に設定された3つの評価区分のうち、新築/既存建物全体での「プラチナ」は7分野・100項目に渡る評価内容に対し、89項目以上を満たす必要があることから取得が極めて困難なランク

  2. ※2

    高効率壁面太陽光発電パネル:
    (株)カネカと共同研究で開発した発電素子の最高発電効率24%、太陽光発電モジュールの平均発電効率18%のパネル

  3. ※3

    サーカディアンリズム:
    生物に備わる昼と夜を作り出す24時間周期のリズムのこと