長期間性能を保持できる防音用マットを開発

重量床衝撃音の低減機能と転倒時の安全性を確保

2020年2月4日
大成建設株式会社
社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団
田島ルーフィング株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)、社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団(理事長:大八木 雅之)、田島ルーフィング株式会社(社長:田島国雄)は共同で、重量床衝撃音の低減機能と転倒時の安全性を兼ね備え、長期間性能を保持できる防音用マットを開発しました。

 集合住宅などの建物では、子供が飛び跳ねたり、重い物を落とした際に発生する重量床衝撃音が問題となることがあります。このような場合、床衝撃音の低減や転倒時の安全性を確保するため、クッション性の高い防音用マットを床に敷くなどの対策を講じています。しかし、防音用マットの敷設当初は一定程度の重量床衝撃音の低減効果を発揮しますが、繰り返し飛び跳ねることによってマット自体に“へたり※1“が生じ、マットの防音機能が早期に低下してしまうという課題がありました。

 そこで、上記3者は、重量床衝撃音の低減を図り、かつ、クッション性能の劣化を抑制しながら、長期間にわたりその効果を保持できる防音用マットを共同開発(写真1、2参照)し、この度、大成建設の技術センターにおいて実証試験を行い、その効果を確認しました。

防音用マットの特徴は以下のとおりです。

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    用途に応じて2タイプのマットを選択可能(写真1、2参照)
    本マットは、室内状況や用途に応じて、「マットタイプ」と「フロアタイプ」の選択が可能です。「マットタイプ」の単体は90cm角のカバーに収められ、手軽に設置・収納でき、組み合わせた利用も可能です。一方、「フロアタイプ」はフローリング調の床仕上材として新築・改修に使用できます。例えば、和室を改修する際「フロアタイプ」の仕上げにした場合、畳と同程度の厚みで施工できるため、マットを敷き詰めるより意匠性が高く、部屋全体での防音対策が可能となります。

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    優れた低減効果を発揮(図1参照)
    本マットは、クッション材の表面に塩ビシートなどを貼付けて一体化させた構造となっており、飛び跳ねによる重量床衝撃音を約3~11dB低減することができ、また低減効果を長期間保持させることが可能です。

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    “へたり”にくさと転倒時の安全性を確保(図2参照)
    本マットでは、表層の塩ビシートがクッション材の沈み込みを防ぐことで、マットの耐久性を向上させ、また衝撃吸収性能※2が畳などに比べて高く、転倒時の安全性も兼ね備えています。

 今後、当社等は、本マットを集合住宅だけでなく、学校や福祉施設、医療・介護施設などにも提案してまいります。また、2020年4月から田島ルーフィングより2タイプのマットの販売を開始する予定です。

写真1 マット断面構成(塩ビシートとクッション材を接着)
写真1 マット断面構成(塩ビシートとクッション材を接着)
写真2 マット設置状況
写真2 マット設置状況
図1 床衝撃音低減効果の実証結果
図1 床衝撃音低減効果の実証結果
図2 断面構成の違いによる へたりにくさの比較結果 (50kgの重りを2万回載荷)

図2 断面構成の違いによるへたりにくさの比較結果(50kgの重りを2万回載荷)

  1. ※1へたり:クッション材などに繰り返し載荷・除荷しても、変形が元に戻らず、徐々に厚みが減少する現象のこと。
  2. ※2衝撃吸収性能: 床材の衝撃吸収性は転倒衝突時の衝撃最大加速度(G値)で評価され、この値が小さいほど安全性は高くなる。畳のG値=50~60(500~600 m/s2)程度に対し本マットはG値=20(200m/s2)程度。