5Gを活用したi-Constructionの実現に向けた実証実験を実施

2020年1月28日
Wireless City Planning株式会社
ソフトバンク株式会社
大成建設株式会社

Wireless City Planning株式会社(以下「WCP」)とソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、大成建設株式会社(以下「大成建設」)と協力し、総務省の「多数の端末からの同時接続要求を処理可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討の請負」で、第5世代移動通信システム(以下「5G」)を活用して、トンネル工事現場における作業員の安全管理を目的としたi-Construction※1の実現に向けた実証実験を、北海道余市郡で建設中の「北海道新幹線、後志トンネル(落合)他工事(発注者:独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構、施工者:大成・佐藤・田中・堀松JV)」で2019年12月に実施しました。

日本の生産年齢人口の減少により、さまざまな業種の労働生産性の向上策として、ICT(情報通信技術)機器などの高度化、データの利活用による移動や労力の削減、生産性の向上が求められています。また、日本は山岳が多いため、トンネルが多数あります。トンネルの工事現場では、落盤や土砂崩れ、酸欠、火災などの重大な事故が起こることもあり、安心・安全な労働環境の実現が求められています。

このような課題に対して、WCPは、ソフトバンクが開発した「おでかけ5G」(高い通信品質のサービスを局地的に提供できる可搬型5G設備)を工事現場に設置し、5Gネットワークを構築して、センサーによるトンネル工事現場のデータ収集と建設機械の遠隔操作に関する実証実験を行いました。

「おでかけ5G」の基地局・遠隔制御装置を搭載した建設機械・ガスセンサー、環境センサー
今回構築した5Gネットワークの構成図
今回構築した5Gネットワークの構成図

今回実施した実証実験の詳細は、下記の通りです。

1.ガスセンサーや環境センサー、ウエアラブルセンサーによるトンネル工事現場の安全監視

トンネル工事現場の安全監視として、ガスセンサーや環境センサー、ウエアラブルセンサーを使用し、トンネル工事現場で発生する危険性の高い毒性ガスや可燃性ガスのデータ収集、労働環境の指標となる温度や二酸化炭素などをリアルタイムに監視して、危険な値が検出された際には作業員へアラートを送る仕組みの検証を行いました。これにより、トンネル工事現場の環境を外部からモニタリングできるとともに、危険時にはトンネル内の作業員に通知することで、迅速な避難誘導が可能になると期待されます。

図
 

2.災害時の初期安全確認を想定した建設機械の遠隔操作

トンネル工事現場で、株式会社カナモトが開発した遠隔制御装置「カナロボ」を搭載した油圧ショベルおよびクローラダンプに「おでかけ5G」の端末を搭載し、トンネル外に設けた操作室から建設機械を遠隔操作できる環境を構築しました。5Gの大容量通信とMECサーバーを活用することで、「おでかけ5G」の設置場所から約1,400mの地点で操作室からの建設機械の遠隔操作と、4台のフルHD画質カメラを搭載した建設機械から操作室への映像伝送が問題なく行えることを確認しました。また、建設機械にガスセンサーを設置し、トンネル内の環境を確認することができました。これにより、従来は人手で災害発生時の安全確認を行っていましたが、初期の安全確認を、建設機械を通して行うことが可能になると期待されます。

図2

3.さまざまな通信要件を統合するスライシング機能の確認

ガスセンサーや環境センサーなどのIoTデバイスを多数設置したトンネル工事現場で、災害発生時の安全確認として大容量通信を必要とする建設機械の遠隔操作を行うことで、無線通信の容量がひっ迫した場合を想定し、スライシングによる優先制御機能の確認を行いました※2。これにより、通信容量のひっ迫した環境下で、ウエアラブルセンサーやガスセンサーによるトンネル工事現場の安全監視システムの維持と、建設機械の遠隔操作を問題なく行うことが可能になると期待されます。

図3




WCPとソフトバンク、大成建設は今後も5GやIoTを活用したさまざまな検討を進めていきます。

  1. ※1「ICTの全面的な活用(ICT土工)」などの施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す取り組み。
  2. ※2ネットワークスライシング技術のうち、無線区間における優先制御技術について実証を実施。

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