大規模災害時のBCP支援ツール「T-BC Controller」を開発

機能維持時間に合わせて設備機器を自動制御

2020年1月20日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、株式会社東光高岳(社長:武部俊郎)と共同で、大規模災害発生時に建物内のライフライン機能を的確に把握・見える化し、BCPの実行に求められるインフラ設備の機能維持時間に合わせて、空調、照明などの設備機器を自動的にコントロールする災害時統合型ビル管理システム「T-BC Controller」を開発しました。

 近年、わが国では地震や水害などの大規模災害の発生が増加しており、災害時の活動拠点となる公共施設や病院、生産活動の継続を目的とする企業などにおいて、BCPの策定と、それに沿った平時訓練の重要性が高まっています。しかし、実際に災害が発生した場合、インフラ設備が供給を停止するなどの予期せぬ事態により、BCPを実行することが困難な状況が予想されます。

 この度、開発した本システムは、大規模災害発生時によりライフラインが供給を停止した際に、備蓄燃料や給水設備の残存量などから各設備の運転可能時間を自動で予測・見える化します。(図1参照)予測した運転可能時間が、BCPを実行する上で必要な機能維持時間より短い場合は、予め設定した優先順位の低い諸室の電源や設備を自動停止させ、優先順位の高い諸室(災害対策本部など)に供給するなどのコントロールを自動で行うことで、施設の機能維持時間を延ばし、各種インフラの状況を素早く把握することにより、災害における活動方針の決定などBCPの実行を支援します。

「T- BC Controller」(図2参照)の特徴は以下とおりです。

  1. 1

    BEMSとの連携

    設備機器を管理するBAS※1およびエネルギー使用量を管理するBEMS※2を連動させた災害時統合型ビル管理システムです。災害時には、備蓄燃料や水の消費を抑える機能を備えています。

  2. 2

    ライフライン機能見える化

    停電、ガス供給遮断、断水などを感知すると、待機状態のツールが自動で起動し、BCPモードに切り替わり、水や発電機燃料などの備蓄インフラの供給可能時間などを予測・見える化します。

  3. 3

    自動コントロール

    予め策定した機能維持時間となるように各種インフラ設備にかかるエネルギー負荷量を選定し、各々のエネルギー使用量を制御する機能を備えています。

 今後、当社は、災害時の活動拠点となる公共施設や病院、BCPを強化する企業などに対して、BCPの実行を確実なものとするための支援ツールとして、積極的に提案してまいります。

図1 予測画面事例
図1 予測画面事例
図2 「T-BC Controller」構成図
図2「T-BC Controller」構成図
  1. ※1

    BAS:設備機器を監視・管理・制御を行うシステム(Building Automation System)

  2. ※2

    BEMS:エネルギー量など把握管理を行うシステム(Building Energy Management System)