大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE®杭工法」を開発

超高層建物の建築工事で掘削土量削減、工期短縮

2019年4月3日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、システム計測株式会社(会長:久保豊)と共同で、杭の中間部と底部の杭径を大幅に拡大した、大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE杭工法」を開発しました。

 近年、都市部に建設される建物の超高層化、長スパン化に伴い建物自体が重くなるため、建物を支える杭に求められる鉛直支持力も増大しています。そのため、従来は、建物の柱毎に複数の拡底杭を打設する工法や大断面の連続壁を構築する地中連壁杭工法を用いて施工していましたが、掘削残土が大量に発生し、工期が長くなるという課題がありました。
 そこで、両社は、場所打ちコンクリート杭の中間部と底部の杭径を約2倍に拡大した拡径部を設けることで杭鉛直支持力の増大を可能とする、多段拡径場所打ちコンクリート杭を用いた「T-EAGLE杭工法」を開発しました。

 本工法の特徴および適用範囲は以下のとおりです。

  1. 1杭鉛直支持力が増加
     本工法では、杭の中間に拡径部のない従来の拡底杭工法(最大径4.8m)に比べて、拡底部と同一径の中間拡径部を設けることにより、支圧面積が増加し杭1本当たりの鉛直支持力が3割増大します。また中間拡径部および拡底部の最大径を5.5mまで拡大することで、支圧面積をさらに増加させて鉛直支持力を6割以上増大させることが可能です。その結果、杭1本当たりの鉛直支持力は長期荷重で80MN以上を確保できるため、杭の施工本数削減や支持層内での杭長を短くすることが可能となります。
  2. 2掘削土量削減と工期短縮を実現
     同じ鉛直支持力を有する、本杭工法(拡大径5.2m)1本施工と従来の拡底杭(拡大径4.5m)2本施工する場合の試算結果を基に、掘削土量と工期を比較すると、本杭工法は従来の拡底杭工法に対して、掘削土量を3割削減でき、工期を2~3日(2割程度)短縮することが可能となります。
「T-EAGLE杭工法」の適用範囲
項目適用範囲
中間拡径部および拡底部の最大径 5.5m
中間拡径部の最大掘削深さ 65m
拡底部の最大掘削深さ 90m
コンクリート設計基準強度 18~80N/mm2

 また、本工法は現場施工試験により杭の施工手順ほか施工管理手法を確立し、杭の形状・寸法・品質などを確認するとともに、(一財)ベターリビングより建設技術審査証明(BL審査証明-043)を2019年1月に取得しました。

 今後、当社では、都市部で計画される高さ300m級の超高層建物の基礎工事に対して、「T-EAGLE杭工法」を積極的に提案してまいります。

T-EAGLE杭の概要
T-EAGLE杭の概要
中間拡大掘削バケット(最大径5.5m)
中間拡大掘削バケット(最大径5.5m)
杭形状調査状況
杭形状調査状況
  1. 鉛直支持力:建物の自重や地震時に発生する重力方向の荷重を支える力