固体伝搬音予測システム「TSounds®-Structure」を開発

改修・解体工事で生じる建物内での騒音を高精度かつ迅速に予測

2019年3月22日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、建物を使用しながら改修・解体工事を実施する際、発生源から建物内を伝わり居室などに影響を及ぼす騒音(以下、固体伝搬音)を事前に予測するシステム「TSounds-Structure」を開発しました。本システムにより、工事前にどの程度の固体伝搬音が発生し、どのように伝わるかが高精度かつ迅速に予測できるため、施工時において効果的な騒音対策が可能となります。

 近年、建物の一部を使用しながら改修・解体工事を実施する事例が多くみられます。その場合、工事に起因する振動が建物部材を伝搬して、居室の壁を揺らすことで発生する固体伝搬音を的確に把握し、対策を講じる必要があります。通常、固体伝搬音の振動伝搬解析は、伝搬距離をパラメータとする実験式を用いますが、計算が容易な反面、振動波の反射など実際の波動現象には対応できないため、予測精度に問題がありました。また、波動現象に対応し、精度を向上させた解析手法も提案されていますが、建物全体での解析には計算時間がかかり実用的ではありませんでした。

 そこで当社は、上記課題を解決するため、固体伝搬音を高精度かつ迅速に予測することが可能な固体伝搬音予測システム「TSounds-Structure」を開発しました。

 「TSounds-Structure」の特徴は以下のとおりです。

  1. 1本システムは、固体伝搬音の振動伝搬解析に統計的エネルギー解析法※1を用いることで、振動波の性状や部材間の反射・透過などの波動現象を考慮した解析が実行でき、実測値と同等の結果が得られることから、予測精度の大幅な向上が可能となります。(図-1参照)
  2. 2 従来の高精度解析手法である有限要素法などと比べ、本システムでは解析に必要な要素数が少なくて済むため、中規模ビル(延床面積千坪以上、三千坪未満)の場合、これまで一日以上かかっていた計算時間が1分程度に短縮され、迅速な解析が可能となります。

 さらに、実際の騒音対策検討では、固体伝搬音だけでなく大気中を伝搬する空気伝搬音の影響も考慮する必要があります。これまではそれぞれの伝搬音を個別に解析する手法しかなく、両方の影響を一体で解析するシステムはありませんでした。
 本システムでは、開発済みの空気伝搬音予測システム「TSounds-Ambience」※2との連携により、固体伝搬音と空気伝搬音の影響を組み合わせた総合的な騒音予測が可能となり、また、解析結果を可視化することで、対策の範囲や内容を効率的に決定できるようになります。(図-2参照)

 今後、当社は、建物外から生じる固体伝搬音予測に対しても予測可能なように本システムに改良を加えるとともに、改修・解体工事における騒音対策のための予測ツールとして、本システムを積極的に活用し、騒音影響の少ない施工計画を提案してまいります。

図-1 振動伝搬予測結果(可視化)、実測値・予測値(従来手法・本手法)の比較
図-1 振動伝搬予測結果(可視化)、実測値・予測値(従来手法・本手法)の比較

図-2 固体伝搬音と空気伝搬音を統合した総合的な騒音予測結果
図-2 固体伝搬音と空気伝搬音を統合した総合的な騒音予測結果
  1. ※1統計的エネルギー解析法:振動波の性状(曲げ波、縦波)やスラブ・梁・柱を含む部材間の反射・透過など波動現象を近似的に扱うことができる解析手法で、要素間における縦波・曲げ波のエネルギー収支連立方程式を構築し、振動エネルギー分布を予測可能。
  2. ※2TSounds-Ambience:建物内での発生音が大気中を伝搬することで建物近隣に与える影響や、建物周囲の騒音が建物内に及ぼす影響などを解析し、様々な建築物に関わる騒音や遮音対策の検討に活用可能な数値シミュレーション技術。