光と空気を同時に搬送可能な新型ダクト「T-Light Duct Air」を開発

他室に汎用型設備を設置し、安全で容易な点検作業とコスト低減を実現

2019年2月28日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)と東洋鋼鈑株式会社(社長:田辺 敏幸)は共同で、施設内の防爆区域での照明、空調について、防爆区域外の他室に設置した汎用的な照明・空調設備を利用して、対象区域に光と空気を同時に搬送する新型ダクト「T-Light Duct Air」を開発しました。

 研究施設や工場では、爆発や火災の恐れがある可燃性ガス・蒸気、薬品などを取り扱う実験室や危険物の保管庫などに照明や空調等の電気設備を設置する場合、これらが点火源となることを防ぐため、防爆仕様とすることが必須です。

 しかし、防爆仕様の照明器具や空調設備は導入コストがかかり、また点火源となる恐れのある電気設備は、防爆区域に設置される装置の大きさや保管物の高さに応じて天井の高い位置に設置されることが多く、設備の保守点検のために足場の設置が必要となることから、点検作業などが容易に行えないなどの問題点がありました。

 そこで、当社は東洋鋼鈑株式会社と共同で、防爆区域外の他室に設置された汎用的な照明・空調設備を用いて、同一ダクトにより防爆区域に光と空気を同時に搬送することができる新型ダクト「T-Light Duct Air」を開発しました。(写真1参照)

 本ダクトの特徴は以下のとおりです。

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    新型ダクトの内面には、静電気が蓄積せず、埃が付着しにくい金属性導電素材を用いた鏡面反射仕上げを採用しています。ダクト内への埃の付着や堆積を防ぐことで、ダクト内を通過する光の減衰を抑制することができます。さらに、ダクトの空気流入部にフィルターを設置することで埃の進入を防ぐことが可能で、防爆区域に適切な光と温湿度、気流などを調整した空気を搬送することができます。

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    新型ダクトは、従来の空調・換気ダクトと同じ方法により容易に施工できます。また、防爆区域の高天井部に適用する場合、防爆区域外の他室に照明及び空調機を設置することで保守点検時の作業を安全かつ容易に行うことができます。 (図1参照)

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    照明に関しては自然採光を取り入れた光ダクトとしても利用可能で、省エネ効果が期待できます。また、空調ではダクトの防火区画貫通部に防火ダンパを設置することで、万一の火災時にダクト内への炎の侵入を防ぐことができます。

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    防爆区域に高価な防爆仕様の照明・空調器具を設置する必要がなく、コストを抑えた施設の計画及び運用が可能となります。

 今後、当社は本ダクトを研究施設や工場などの防爆区域での照明・空調に適用可能な技術として積極的に提案を行ってまいります。

写真1 研究施設の薬品庫に設置した状況
写真1 研究施設の薬品庫に設置した状況
図1 高天井防爆区域での使用イメージ
図1 高天井防爆区域での使用イメージ
  • ※防爆区域:引火点40度以下の危険物(可燃性ガス・蒸気、薬品など)を貯蔵もしくは取り扱う実験室や保管庫などで、爆発・⽕災が起こらないような対策を講じる必要がある特殊な区域。爆発や火災が起こりうる状況や電気設備で生じる⽕花が点⽕源となる状態を極⼒抑制することで、爆発・⽕災の発生を防ぐ。