汎用型タワークレーン支柱を利用した大型仮設支保工「T-CAPS」を開発

組立・解体の大幅な効率化により、工期短縮、コスト削減、安全性向上を実現

2019年1月29日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、大空間屋根工事や大型橋桁工事等に使用される仮設支保工に、建築工事で汎用的に使用されているタワークレーン支柱※1を活用した大型仮設支保工「T-CAPS」(※ T-CAPSTaisei-Climbing Adjustable Post System)を開発しました。当仮設支保工の適用により、組立・解体の大幅な効率化が図れ、工期短縮、コスト削減および安全性向上を実現することが可能となります。

 従来、屋根や橋桁など重量構造物の仮設支保工として使用される支柱部材は、施工条件(支柱の高さ、軸力等)に合わせて、小型の既存リース部材を組み合せることにより計画されていました。特に、支柱の負担する軸力が大きくなる場合には、複数本の柱部材等を組み合わせた組柱形式の仮設支保工を採用することが多く、施工条件に合わせて使用部材等を個別に新規製作するため、仮設支保工の計画、計算、製作、組立・解体に多大な時間と労力を要し、仮設工事費が高騰する要因となっていました。
 また、複数の施工箇所で使用される支柱の組立、解体では、その都度、安全施設・昇降設備等を設置、撤去する必要があり、その労務や部材数量も付帯的に増大する傾向にあります。
 さらに、解体時には支柱上部に施工済の構造物が存在するため、解体作業の初期にはクレーン等を使用できず、高所での人力作業を余儀なくされ、特に、支柱を繰り返し使用する工事では、組立、解体作業の輻輳が続くことから、工事全体の工程やコストに大きく影響していました。

 そこで当社は、これらの課題への対応策として大型仮設支保工「T-CAPS」を開発しました。「T-CAPS」は、タワークレーン支柱の壁面部を取り囲むように設置された作業足場(図1右側の緑色部)が支柱に沿って昇降可能で、作業足場に備えた2層の作業床や支柱内に装備されている昇降設備を使用して、効率的に組立・解体を行えます。

「T-CAPS」の特徴は以下のとおりです。

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    汎用型のタワークレーン支柱を利用することで仮設支保工に用いる部材数量の削減と組立・解体の効率化が図れ、使用部材転用率を大幅に向上できるため、同一形状・断面により構築される構造物での繰り返し施工に対して仮設作業の著しい効率化が可能となります。

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    当仮設支保工では解体時に作業足場を降下させて構造物直下に空間を確保することで、クレーン等を利用した直接解体が可能です。また従来の仮設支保工を用いた工事では作業毎に設置が必要であった安全設備、昇降設備等の付帯的な仮設設備が昇降式作業足場等に予め装備されているため、組立・解体時の作業労力、使用部材数量を大幅に削減しています。

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  4. 従来の小型部材による組柱形式の仮設支保工では組立・解体日数が合計7日程度必要でしたが、当仮設支保工による支柱の組立・解体はそれぞれ1日で完了させることができます。
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  6. 組立・解体時の作業労力、使用部材数量等の改善により、組柱形式に比べ、6~7割程度のコスト削減が可能となります。

    (注:T-CAPSを100箇所に適用し、4回程度転用する計画とした場合の試算結果)

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  8. 従来の組柱形式では、高所での人力による解体作業が必要でしたが、当仮設支保工では解体時に作業足場を降下させて構造物直下に空間を確保することで、クレーンによる直接解体が可能なため、作業時の安全性が向上します。

 また、「T-CAPS」は、現在施工中の新国立競技場整備事業 屋根鉄骨架設工事に適用されています。

 今後、当社では、本仮設支保工を大空間屋根工事、スタジアム、大型橋桁等の建設に積極的に適用を図っていく予定です。

  1. ※1支保工に使用する支柱は、建築工事で1980年代から現在まで一般的に使用されているタワークレーン(JCC-400H:IHI運搬機械製)の丸型断面支柱(φ=1.9m、L=4.5m)を採用。
図1 仮設支保工の比較
図1 仮設支保工の比較
図2 「T-CAPS」構成部材および構造物支持、転用・解体状況
図2 「T-CAPS」構成部材および構造物支持、解体・転用状況
図3 「T-CAPS」架設状況(イメージ)
図3 「T-CAPS」架設状況(イメージ)