監視カメラの配置検討ツール「T-Sight simulator® Security」を開発

施設内外、街区での監視強化、安全確保に貢献

2018年11月30日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、BIMを活用して監視カメラの視認範囲を予めシミュレーションにより把握し、建築空間の設計段階で、監視カメラの適切な配置を検討できるツール「T-Sight simulator® Security」を開発しました。本ツールの適用により、施設内外をはじめ、より広域な街区単位での効率的かつ合理的な監視カメラの配置計画が可能となり、同エリアでの監視強化、安全確保に貢献することができます。

 近年、防災や防犯を目的として、公共エリアを対象として広域から狭域まで監視カメラを用いて網羅的に撮影・記録するような監視強化策が進められています。しかし、従来の監視カメラ配置は、平面図を用いて設置場所や撮影角度を経験的に決定しており、壁・柱の配置などにより死角のできやすい建物内外の建築空間や、より広域な街区においては、事前に空間全体を漏れなく撮影できるようなカメラ配置を決定することは困難でした。

 そこで当社では、2016年に座席からの見通しを解析するツールとして開発し、劇場やスポーツ施設での観客席の配置設計に適用してきた「T-Sight simulator®」の機能拡張を行い、監視カメラによる空間の見通しを解析、可視化することで視認範囲を把握し、死角のない適切な監視カメラの配置を事前に選定できるツールを開発しました。

 本ツールの特徴は以下のとおりです。

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    カメラ性能(画質、画角、被写体との距離に応じた解像度)を考慮し、カメラ設置位置からエリア全体や被写体がどの程度の範囲や解像度で視認できるかを解析することが可能で、カメラの死角やカメラから距離が遠いため有効な解像度の画像が得られないエリアなども把握できます。

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    対象エリアに設置された全てのカメラの映像に基づくエリア全体や被写体の視認状況の解析結果を1枚のマップにまとめ、色別表示などで可視化することにより、対象エリア内でどの程度視認できるかを一目で確認することができます。(図参照)

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  4. 本ツールのシミュレーションにはBIMを用いているため、複雑で大規模な建築空間や広域な街区でも、カメラ配置による視認状況の解析、可視化を数時間で完了し、迅速に評価することが可能です。このため、カメラ配置を繰り返し効率的に検討することができ、合理的なカメラ配置計画の策定やカメラ台数の適正化に役立ちます。

 今後、当社では、防災、防犯を目的として、駅、空港等の交通施設、商業施設、スポーツ施設等の不特定多数の人が利用する施設はじめ、より広域な街の監視強化や安全性確保などのニーズに本ツールを適用するほか、工場や倉庫などにおける作業状況やセキュリティの監視強化、医療・福祉施設での利用者の見守り強化などに幅広く活用していく予定です。

  1. ※1T-Sight simulator®
    劇場の観覧席から舞台がどの程度見えているか等、人の視点から様々な対象物への見通しをシミュレーションし、可視化するツールで、劇場やスポーツ施設の観客席の設計への適用実績がある。
T-Sight simulator®

物販店舗を対象とした固定式カメラの配置検討例
(カメラの配置、向き、台数の適正化により、監視強化と台数削減を同時に満たす改善案を立案可能)