大スパン・高荷重に対応可能な合成スラブ「T-Heavy Zone Deck」を開発

建築計画の自由度と施工性が向上し、低コスト化を実現

2018年5月23日
大成建設株式会社
JFE建材株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、JFE建材株式会社(社長:久保亮二)と共同で、大スパン・高荷重に対応可能な合成スラブ「T-Heavy Zone Deck」を開発し、鉄骨造の建物に適用可能な耐火構造の大臣認定(2時間耐火)を取得しました。これにより合成スラブの適用範囲が拡大できるため、建築計画の自由度と施工性が向上し、低コスト化の実現が可能となります。

 鉄骨構造の事務所ビルなどでは、施工性が高く、コストメリットがある合成スラブが広く使用されています。しかし、現行の耐火認定済み合成スラブでは、支持スパンに応じて積載荷重に上限(最大9,800N/m2)があり、大型書架のような重量物を設置する高荷重エリアには適用できませんでした。そのため、同一階でありながら、高荷重エリアとそれ以外のエリアで、鉄筋コンクリートスラブと合成スラブが混在することになり、スラブ同士のジョイント部の納まりの煩雑さなどにより施工性が低下し、工期への影響やコストの増加に繋がるなどの問題点がありました。そこで、両社はこれらの課題を解決するため、合成スラブ内に設置する鉄筋補強筋の増量と、鉄骨梁とデッキプレートの接合方法に改良を加えた合成スラブ「T-Heavy Zone Deck」を開発しました。

「T-Heavy Zone Deck」の特長は以下のとおりです。

  1. 1合成スラブの適用範囲を大スパン・高荷重エリアに拡大
    積載荷重の上限が約2割増強し、12,000N/m2になるため、これまで適用できなかった大スパン(最長3.6m)の高荷重エリアでも合成スラブを使用することが可能となります。積載荷重の比較では、大スパンになるほど効用が大きく、最大で現行合成スラブの約2.2倍となります。(図参照)
  2. 2建築計画の自由度が向上
    本合成スラブを建物全体に適用することで、大型書架のような重量物をどこにでも設置することが可能となり、建築計画の自由度が増します。これにより、適用可能なスパンが長くなるため、合成スラブを支持する小梁数を削減することができます。
  3. 3施工性の向上と低コスト化を実現
    従来の鉄筋コンクリート造スラブに比べて配筋作業の省力化と鉄筋量低減が可能になります。また、施工時に構造が異なるスラブ同士の複雑な接続が不要となり、デッキプレートの敷き込みも含めた施工性が向上するため、従来比10%程度のコスト削減に繋がります。

 今後、両社では、大スパンで高荷重の積載荷重が求められる事務所ビル、図書館、倉庫、商業施設等の建築物に対して本構法を積極的に適用してまいります。

  1. ※1合成スラブ:合成スラブ用デッキプレートとその上に打設された構造用コンクリートが構造的に一体となって挙動する床スラブで、ひび割れ拡大防止筋を配して構成される。
スパンと許容積載荷重の関係
スパンと許容積載荷重の関係