音源探査システム「TSounds-Radar」を開発

異音の発生箇所を測定・可視化し、迅速で効率的な対策が可能

2017年11月27日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、建築部材の干渉等による異音の発生箇所を高精度に測定する音源探査システム「TSounds-Radar」を開発しました。本システムにより、これらの異音の発生箇所を正確に把握し、迅速で効率的な対策が可能となります。

 建物内では竣工後にさまざまな要因により設計段階では予期できない異音が発生することがあります。例えば、日射によって建築部材が熱伸びし、接している部材間の伸縮特性の違いから摩擦抵抗が大きくなると、突発的に異音が発生する場合があります。このような異音を低減するには発生箇所を明らかにして対策を講じることが必要で、従来は複数の測定点で音と振動を測定し、発生箇所を特定していましたが、異音の発生頻度が低い場合が多く、短時間で発生箇所を特定するのは困難でした。
 そこで当社は、1箇所に設置した複数のマイクロホンを用いて、建物内で発生する全方位の異音の発生箇所を測定し、画像データと合わせて可視化する音源探査システム「TSounds-Radar」を開発しました。(写真-1)

 「TSounds-Radar」の特徴は以下のとおりです。

  1. 1異音の発生箇所を高精度に測定・可視化
    音の発生方向を推定する方法の1つであるMUSIC(Multiple Signal Classification)法※注1を用いて、1箇所で全方位の異音の発生箇所を高精度に測定でき、全天球カメラを用いた撮影画像と測定結果を重ね合わせることで発生箇所を可視化し、視覚的に把握することができます。(写真-2)
  2. 2探査範囲に応じてマイクロホンの配置を最適化
    探査範囲がある程度特定できている場合は、方向や範囲に応じてマイクロホンの配置を柔軟に変更でき、より高精度な測定が可能となります。測定には、マイクロホンを取り付けた直径の異なる円状フレームを用い、設置する高さや傾きを任意に調整できます。(写真-3)
  3. 3信頼性の高い計測を実現
    発生頻度が低い異音の計測では長時間に渡る計測が必要となりますが、本システムでは最長で1週間程度の連続計測が可能です。また、発生音をPCとバックアップ用レコーダに同時録音することで、1度の発音のみで発生箇所を測定でき、迅速に効率的な対策案を提案することが可能です。

 今後、当社は、本システムにより異音の発生箇所を高精度に測定・可視化し、さまざまな建物において発生箇所を特定することにより積極的に品質確保に活用してまいります。

  1. ※注1MUSIC法:
    信号と振幅、位相情報を利用した音の発生方向を推定する方法の1つ。従来用いられる方法よりも高精度に音の発生箇所を推定できる。