ICTの強みを活かして
「即効性のある生産性向上」を実現

全ての建築工事現場にICTによる業務スタイルが定着し、業務効率を大幅に改善

2017年10月18日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、東京五輪関連プロジェクトや大型再開発案件など建設工事の繁忙を迎え、生産能力の更なる向上に向けて、戦略的な社員配置や期間雇用社員(契約・派遣)を含めた技術要員確保、労務・資材の先行調達・投資及び建設ロボットを含む新規技術開発、各種情報の有効活用等のさまざまな施策を、これまで計画的に展開してきました。現在、建設工事では、生産性向上に向けた「建設ロボット」の導入が進んでいますが、徐々に実用化されているのが現状です。そのため、現時点では、建設工事に対して当社の「ICT の強みを最大限に活かす」ことこそが、生産能力の向上を実現する最も即効性のある施策であると認識しています。

 当社は、建設業界において最も早い時期から、施工現場の業務効率化を推進するためにインターネットを利用したプラットフォームを開発・整備し、ICTの進歩と社会的要求に合わせ発展させてきました。現在では、全ての建築工事現場でICTを活用した業務スタイルが既に定着していることが強みとなっており、多くの実績を積み重ねASP・SaaS・クラウドアワード2011・ユーザ部門で初代総合グランプリを受賞するなど、社外からも高い評価を得ています。

 実例としては、業界に先駆けて2003年度から導入した現場事務所を中心に社内外のプロジェクト関係者間で利用する情報共有ネットワーク「作業所Net」※1の活用が挙げられます。10年以上の歳月をかけ、すべての建築工事における施工図や工事記録など最新情報の一元管理を定着させたことで業界最大級のクラウドサービスに成長しており、現在も約700箇所に及ぶ当社の全ての建築工事現場において稼働しています。本年はファイルのダウンロード数が年間200万回を超える見込みで、紙換算では毎月80万枚規模の図面がセキュリティの確保された状況で活用されています。

 また、iPad等の携帯端末を用い、現場で施工管理情報の閲覧・記録作成が可能な「作業所Net」連携アプリ「Field Pad」※2を2011年に運用を開始しました。このアプリはiPad発売以前の2008年から開発を着手し、社外のプロジェクト関係者も利用できるよう一般販売も行っています。これまでの販売実績は累計6,000本を超え、そのうち約3,000本が当社購入、約1,000本は社外のプロジェクト関係者、そして残り約2,000本は当社のプロジェクト関係者ではない方による利用となっています。

 さらに、当社は各建築工事に対する社内プロセス管理の効率化と厳格化にも注力しています。2016年度より新たに運用を開始した「Process Control」は、受注から設計、施工、維持管理までの工事に係る社内プロセスの繋がりを見える化し、プロセス毎に作成された書類の記録・保存や作成済み書類の確認・活用などをサポートする社内システムとして、既に国内外の全ての建築工事現場に適用されています。

「作業所Net」、「Field Pad」および「Process Control」の主な特徴は以下のとおりです。

  1. 1「作業所Net」
    各種図面を効率的に管理できる仕組みを構築しており、当社の調達システムと連携した設計図面の自動開示機能や、図面更新時に閲覧履歴のあるプロジェクト関係者へ自動通知する機能等を提供しています。これにより6,800社を超える協力会社、設計事務所、顧客など約3万人のプロジェクト関係者との情報共有が成立しています。
  2. 2「Field Pad」
    このアプリは「作業所Net」で管理されている最新情報を活かすことを目的に開発され、現場での図面情報の閲覧や工事記録写真の保存、報告書の作成など施工管理業務全般に利用しています。これにより書類を作成する時間が短縮されるなど業務の効率化が実現されています。また、「建設サイト」※3への接続、「伝票@Tovas」※4との連携による自動書類作成機能などが、それぞれ有償で利用可能となっています。
  3. 3「Process Control」
    このシステムでは、文書管理に当社特許取得の手法を採用しており、様々な条件のもと規定されているプロセスを社内メンバーが簡単に運用できるよう設計されています。また、人事データに基づく配属や役職に応じてアクセス権が自動設定されることで、各部門が設けた社内プロセスを社内メンバーに対して提供可能となり、システム上での見える化を実現しました。iPad向けの専用アプリも提供され、社内プロセスによる会議などのペーパレス化にも寄与しています。

 当社では、2017年度よりICTを基軸とした生産性向上と技術革新への取り組みを「TAISEI i-Innovation」と名付け、全社での活動を展開しています。
 今後もICTを活用した業務スタイルの改革に取り組んでまいります。

  1. ※1「作業所Net」は、株式会社MCデータプラス運営の建設サイト・シリーズを独自にカスタマイズし、当社の施工管理業務のスタイルに特化したサービス。
  2. ※2「Field Pad」は、大成建設株式会社の登録商標です。
  3. ※3「建設サイト」は、株式会社MCデータプラスが運営するサイトで、建設業向けクラウドサービスです。なお、「建設サイト」は、株式会社MCデータプラスの登録商標です。
  4. ※4「伝票@Tovas」は、コクヨ株式会社が運営する帳票出力サービスです。
ICTの強みを活かして「即効性のある生産性向上」を実現
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