国内初 テナントオフィスビルでZEBを実現

BELSの「ZEB Ready」及び「最高ランク☆☆☆☆☆」の認証を取得

2017年5月31日
大成建設株式会社
渡辺地所株式会社
株式会社サンライト

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、渡辺地所株式会社(社長:渡邉浩志)及び株式会社サンライト(社長:渡邉隆司)が事業主となるJS博多渡辺ビル※1の設計段階において、2017年3月に国土交通省が主導する建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)※2のZEB Ready※3及び「最高ランク☆☆☆☆☆」の認証をテナントオフィスビルとして国内で初めて取得しました。

 日本の温室効果ガス削減目標である2030年26%削減(2013年比)を、確実に達成するためにZEB普及は喫緊の課題です。国の施策である「エネルギー基本計画」や「エネルギー革新戦略」においてもZEB普及を推進しており、2015年には、建築物の設計時における一次エネルギー消費量に応じて、ZEB Ready、Nearly ZEB、『ZEB』の3段階でZEBが定義※4され、国としてのZEBロードマップが提示されると共に、設計ガイドラインの作成が開始されるなど、日本国内でZEBの普及展開が加速され始めました。
 BELSの認証制度において、2016年8月よりZEBのレベルに応じた認証取得が可能となったことから、建物の省エネルギー性能を定量的に把握することで、個別のビルが持つ環境性能を明確に表示する素地が整いました。
 海外では建築物省エネルギー性能表示制度の普及により、省エネルギーレベルに応じて賃料格差が生じるなど資産価値向上が確認されており、日本でも、今後、環境性能の高い不動産の資産価値が向上※5し、テナント誘致に対しても有利になると予想されることから、テナントオフィスビルにおいてもZEB化の推進が期待されています。
 このような背景から、大成建設株式会社、渡辺地所株式会社、株式会社サンライトは、環境性能の高いテナントオフィスビルの建設にいち早く取り組み、このたび、テナントオフィスビルとして国内初のZEB化を実現しました。

 本建物には、高効率な空調システムの採用に加え、人検知センサーによる照明・空調制御、自然採光利用、テナント区画毎のエネルギー見える化システム等のZEB化新技術が導入され、標準的なビルに対して一次エネルギー消費量を52%削減しています。
 今後、大成建設株式会社では、さまざまなZEB化新技術と在来技術のベストマッチングを図り、市場性のあるZEB化建築物の普及展開を積極的に推進していきます。

国内初 テナントオフィスビルでZEBを実現

※1 建物概要

建物名称 JS博多渡辺ビル
計画地 福岡県福岡市博多区住吉四丁目1番地
階数 地上7階
延床面積 6,173m2
工期 2016年12月~2018年2月
国内初 テナントオフィスビルでZEBを実現

※2 BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)

 国土交通省が主導する建築物の省エネルギー性能に特化した、第3者による認証制度です。国が定める計算方法に則りBEI(省エネルギー性能指標)値を算出し、その値によって☆の数が決定します。最高ランクの☆☆☆☆☆の中でも更に省エネルギー性能に優れた建物がZEBとして認証されます。

※3 ZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ)

 「ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物」であり、創エネルギー分を除き基準一次エネルギー消費量から50%以上の1次エネルギー消費量を削減した建築物。

※4 ZEBの定義

 2015年12月17日に経済産業省資源エネルギー庁より公表されたZEBの定性的な定義として下記の考え方が示されました。
 ZEBとはネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略で先 進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、創エネルギーを導入することによりエネルギー自立度を高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物です。
 国の新定義としてのZEBは、1次エネルギー消費の削減量が50%以上であるZEB Ready、削減量が75%以上のNearly ZEB, 削減量が100%以上の『ZEB』の3種類がZEBに該当します。創エネルギーは敷地内(オンサイト)のみを対象とし、使用エネルギーからはコンセント負荷を除く等の規定が定められており、建物毎の計画値の算出が必要となります。

国内初 テナントオフィスビルでZEBを実現

※5 環境配慮建築物の価値

 海外では建物における省エネルギー性能の表示が普及しており、省エネルギーのレベルに応じて賃料に差が出ています。日本においてもCASBEE(建築環境総合性能評価システム)など、建物環境性能評価の結果が不動産価値に反映され始めており、今後はZEB認証取得による資産価値向上が想定されます。