曲げひび割れ幅制御工法
「T-CrackControl Flexure」を開発

鉄筋コンクリート構造物の曲げひび割れ幅を低減し、耐久性を向上

2017年3月3日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、鉄筋コンクリート構造物(以下、RC構造物)の主鉄筋と、細いステンレス鉄筋やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を組み合わせて配置することで曲げひび割れ幅を制御する工法「T-CrackControl Flexure」を開発しました。

 ボックスカルバートなどの地下RC構造物では、躯体に常時土水圧が作用するため、設計で許容される範囲内のひび割れが生じます。このひび割れ幅が許容値より大きくなると、水分などが躯体内に浸透しやすくなり、内部の鉄筋腐食などにより構造物の耐久性が低下することから、従来工法では主鉄筋の本数(主鉄筋量)を増やして曲げひび割れ幅を抑制してきました。しかし、この方法では高密度配筋となり、鉄筋の組み立てやコンクリートの打込みが困難になるという問題点がありました。

 そこで、当社は、RC構造物の主鉄筋とコンクリート表面の間に、主鉄筋よりも細く、耐食性に優れたステンレス鉄筋やCFRPを曲げひび割れ制御材として配置することで、ひび割れ間隔を狭めると同時に、ひび割れ幅を低減する工法「T-CrackControl Flexure」を開発し、その効果を載荷実験により検証しました。

「T-CrackControl Flexure」の特徴は以下のとおりです。

  1. 1本工法は、従来工法に比べ、断面寸法や主鉄筋量を増加させずに曲げひび割れ幅を低減し、また耐力や剛性などの構造性能にも影響を及ぼさず、RC構造物の耐久性を向上させることができます。
  2. 2本工法を適用したRC構造物に、曲げひび割れ幅を定量的に制御し、ひび割れ幅の許容値を満たす鉄筋量を算定する「ひび割れ幅予測式」を用いることで、適切な鉄筋量を定めることができます。
  3. 3従来工法では曲げひび割れ幅を抑制するために多段に配置していた主鉄筋を、本工法では細径のステンレス鉄筋やCFRPに置き換えるため、従来よりも主鉄筋の段数や主鉄筋量を低減することができ(図-1参照)、コスト低減につながります。

 今後、当社は、土木・建築分野を問わず、常時土水圧などの外力が作用し、耐久性の向上が求められるRC構造物に対して曲げひび割れ幅を低減する工法として、本工法を積極的に提案していきます。

曲げひび割れ幅制御工法「T-CrackControl Flexure」を開発