ロボットによる柱鉄骨の現場溶接自動化工法
「T-iROBO Welding」を開発

溶接作業を省人化、効率化

2016年8月25日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、軽量かつコンパクトな作業ロボットによる柱鉄骨の現場溶接自動化工法「T-iROBO Welding」を開発しました。これより、現場溶接作業の省人化、効率化が可能となります。

 既往の小型溶接ロボットは、平板や丸型鋼管のような単純形状の柱鉄骨以外へは適用が困難でした。その理由としては、既往ロボットで溶接作業を行う場合、前作業として技能労働者(溶接工)の先行溶接や鉄骨に付属する障害物の撤去作業を行い(図-1・I)、その後ロボットを設置する等の作業が必要となってきます。そのため溶接工だけですべての溶接作業を行う場合と比べて作業効率が低下するといった課題があり、広範な普及に至っていなかったのが現状でした。

 そこで、当社では、鋼管柱継手部の溶接作業を対象に、すべての溶接を小型溶接ロボットにより自動で行う工法「T-iROBO Welding」を開発しました。

 本ロボットの特徴は以下の通りです。

  1. 1障害物を回避するための動作を予めロボットに記憶させ、ロボットの首振り機構を用いて仮固定治具などの障害物を回避しながら自動で溶接を行うことが可能です(写真-1)。
  2. 2角型鋼管柱のコーナー部のように平面から曲面に変化する複雑な形状の部位でも、ロボットが形状変化を判断し連続して溶接することができます(写真-2)。
  3. 3本ロボットの適用により、これまで溶接工による先行溶接が必要だったプロセスを含め、すべての溶接作業をロボットだけで行うことができるため、溶接作業の省人化と作業効率の向上が可能です(図-1・II)。
  4. 4角型鋼管柱(幅650mm、版厚28mm)の溶接作業を想定した施工試験では、従来の小型溶接ロボットによる施工に比べて、柱周りの継手部溶接1箇所あたり1~1.5時間の時間短縮(従来の約30%程度)が可能で、また溶接部の破壊試験などの結果から本ロボットで施工した溶接部の品質も所定の規準を満たすことを確認しています。

 今後、当社では、2017年度から本ロボットによる自動化工法の本格的な現場導入を目指し、操作性等も考慮したロボット性能の更なる向上を図りながら、普及展開を進めてまいります。

ロボットによる柱鉄骨の現場溶接自動化工法「T-iROBO Welding」
ロボットによる柱鉄骨の現場溶接自動化工法「T-iROBO Welding」
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