長寿命型カッタビット「多層チップビット」を開発

超硬チップの多層化により、礫層地盤の連続切削を実現

2016年5月11日
大成建設株式会社
株式会社丸和技研

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、株式会社丸和技研(社長:嘉屋文康)と共同で、シールドトンネル工事で使用するカッタビットを、礫層地盤においても交換せずに連続切削を可能とする「多層チップビット」を開発しました。

 近年、シールドトンネル工事では長距離掘進や玉石・礫混じりの礫層地盤における施工が増大しており、施工中に地盤内の玉石や礫との接触により、シールドマシンに装備されたカッタビット先端部の超硬チップに割れや欠けなどの損傷が発生し、切削能力低下を引き起こしていました。
 そこで、当社と丸和技研は、超硬チップの損傷による影響を受けず、連続して地盤を切削する技術として、超硬チップの構造を多層にすることにより、礫層地盤の連続切削を可能とする長寿命型カッタビット「多層チップビット」を開発しました。

本技術の特長は以下のとおりです。

  1. 1玉石・礫混じりの礫層地盤を切削し続けると、1層目の超硬チップに割れや欠けなどの損傷が生じますが、その後超硬チップが剥がれ落ち、内側から2層目の超硬チップが出現し、引続き地盤の切削が可能となります。
  2. 22層目の超硬チップは、1層目の超硬チップが剥がれ落ち、出現するまで、1層目の超硬チップで保護されているため、健全な状態が維持されます。
  3. 3カッタビットの切削能力をより長く維持できるため、カッタビットを交換することなく、効率的に礫層地盤を切削し続けることができます。
  4. 4本ビットの適用により、カッタビット交換のために従来必要であった中間立坑の構築費用や交換作業が不要となり、工期短縮、コスト削減を図ることができます。

 本技術は2013年から開発を進め、これまでに2件の試験施工※1を実施し、その有効性を確認しています。また、実施工※2への適用は2件となっています。
 今後、当社と丸和技研は、上記の試験施工及び適用実績を基に、さらに広く本技術の普及、展開を進めてまいります。

  1. ※1試験施工実績
    2件の実績を以下に示す
    • 「中突堤ポンプ場放流渠築造工事(その1)」(神戸市発注)
    • 「送水管布設工事(バイパス・堺市田園~堺市三原台)」(大阪広域水道企業団南部水道事業所発注)
  2. ※2実施工実績
    2件の実績を以下に示す
    • 「香西第1雨水幹線工事(1工区)」(高松市上下水道事業管理者発注)
    • 「望月寒川広域河川改修工事(放水路トンネル)」(北海道空知総合振興局発注)
長寿命型カッタビット「多層チップビット」を開発