「ホップ成分」を用いた汚染地下水浄化技術を開発

「ホップ成分」の効果で塩素化エチレン類汚染地下水を短期間で浄化

2016年4月4日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、「ホップ成分」※1を用いて塩素化エチレン類※2の汚染地下水を浄化する技術を開発しました。これは「ホップ成分」の効果により塩素化エチレン類を浄化する特定の細菌を活性化させ、短期間に汚染地下水の浄化を可能にするものです。
 現在、有機溶剤に含まれる塩素化エチレン類による地下水汚染が顕在化し、その多くは広範囲に及んでいます。汚染浄化のためには、地下水に微生物活性剤を注入し、汚染域に生息している特定の細菌(脱塩素細菌)を活性化して浄化する技術が広く普及しています。その技術では、数年単位の浄化期間が必要となり、コスト増加や土地利用の制約などの課題が生じていました。
 そこで、大成建設は、脱塩素細菌を速やかに活性化させる方法について研究を進め、「ホップ成分」を含む微生物活性剤が、それを含まない微生物活性剤よりも短期間で浄化できることを確認しました。

本技術の特徴は以下のとおりです。

  1. 1「ホップ成分」は、浄化に無関係な細菌の増殖を抑制し、浄化に関わる脱塩素細菌を優先して活性化するため、汚染地下水中の塩素化エチレン類の浄化を促進します。
  2. 2「ホップ成分」は、浄化に無関係な細菌の増殖を抑制し、それらの細菌によって無駄に消費されていた微生物活性剤の量を減らせるため、結果的に微生物活性剤の全体使用量を削減できます。
  3. 3「ホップ成分」は天然由来の食品成分であり、生態系に対して安全性が高い材料です。

 「ホップ成分」を含む微生物活性剤を用いた実証試験では、ラボレベルと同等の浄化効果を地下水汚染サイトで確認しています。
 今後、大成建設は、土壌を掘削せずに浄化する技術(原位置浄化技術)のひとつとして、本技術を塩素化エチレン類の汚染地下水浄化に広く展開していく予定です。

  1. ※1「ホップ成分」は、ビールの主原料で苦味、香り、泡の生成に重要な役割を果たすだけでなく、雑菌の繁殖を抑制し、ビールの保存性を高める効果がある。この成分が脱塩素細菌を優先して活性化し、浄化期間を短縮するための重要成分であるという点について、2012年に大成建設とMCフードスペシャリティーズで共同特許出願を行い、2015年4月に権利が成立した。(特許 第5706134号)。
  2. ※2塩素化エチレン類は、エチレンに塩素を付加して合成した液体。トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンが金属部品の洗浄剤や溶剤として広く使用されてきたが、有害性が確認されたため環境規制物質に指定されている。
「ホップ成分」を用いた汚染地下水浄化技術を開発