大断面の地下空間を構築する「リボルバー工法」を開発

小断面トンネルを数珠状に重ね合せ、安全で合理的に施工

2015年11月26日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、小断面円形シールドトンネル(外殻シールドトンネル)を数珠状に重ね合せて一体化し、大断面の覆工体(外殻覆工体)を構築した後に内部土砂を掘削することで、大空間を構築する「リボルバー工法」を開発しました。この工法により、地表面から掘削せずに大規模な地下空間を安全で合理的に施工することが可能となります。

 現在、都市部で地下に大規模な空間を構築する場合、工事用地の確保が難しく、また周辺環境への負荷低減が求められていることから、地表面から掘削せずに安全で合理的に施工する技術が望まれています。
 そこで大成建設は、これまで実績のある既存技術を組み合わせ、円筒形状の大断面外殻覆工体を効率よく構築する新しい工法「リボルバー工法」を開発しました。

 外殻覆工体は、円形形状に配置された隣接する外殻シールドトンネルを連結し、一体化したコンクリート構造です。新工法では、周辺地盤や地下水位などの条件に合わせて、最適な構造の外殻覆工体を構築し、止水性も確保します。また、シールドトンネルの分岐・合流部での拡幅断面積に応じて、先行・後行する外殻シールドトンネル接続部の切削幅を変えることで、自由に断面を変化させ、必要最小断面で掘削できるため、経済的な施工を実現します。

 外殻覆工体の構築手順は図3に示すとおり、(1)先行外殻シールド機で掘進し、コンクリートセグメント設置および中詰コンクリートを打設、(2)先行外殻シールドトンネルの一部を後行外殻シールド機で切削しながら掘進し、後行外殻シールドトンネルの鋼製セグメント背面に直打ち覆工コンクリート(ECLコンクリート)を充填することで隣接する先行外殻シールドトンネルと接合、(3)接合後に後行外殻シールドトンネル内に中詰めコンクリートを充填し、外殻覆工体を構築、(4)外殻覆工体完成後に覆工体の内部を掘削し、大規模な地下空間を構築します。

 なお、本工法は一般財団法人国土技術研究センター(JICE)より建設技術審査証明書を取得しているため、一般土木工法としてシールドトンネル工事への適用が可能であり、今後、当社はこの工法をシールドトンネルの分岐・合流部など大空間が必要とされる地下構造物の構築に適用していきます。