エアカーテンを用いたクリーンブース
『T-Clean Air Wall』を開発

大幅な利便性向上と省エネ効果が期待

2015年10月23日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、生産施設などのクリーンルーム向けに、エアカーテンを用いたクリーンブース『T-Clean Air Wall』を開発しました。これにより、従来のようにビニルカーテンなどで区画する必要がなくなり、利便性が大幅に向上します。また、必要なエリアのみ対象とするため、高い省エネ効果が期待できます。

 電子デバイス製造施設をはじめとする生産施設のクリーンルームは、生産施設のランニングコストが高く、低コスト化、省エネルギー化が強く望まれています。従来は天井全面から清浄な空気を送り込み、床面で排気することにより室内全体のクリーン度を保つ、エネルギー消費の多い全面層流型空調システムが多く用いられてきました。しかし、近年ではクリーンルーム全体の清浄度を上げるのではなく、高い清浄度が求められるエリアにのみクリーンブースを用いる乱流方式が主流となっています。その際、従来のクリーンブースはビニルカーテンやガラスによる区画を必要とし、それによって、移動同線が遮られる為、生産作業そのものに支障をきたす場合がありました。
 今回開発した『T-Clean Air Wall』は、物理的な壁の代わりにエアカーテンによる空気の壁をつくることで高い清浄度と作業性を両立させた新しいクリーンブースです。

本クリーンブースの特徴は以下のとおりです。

  1. 1クリーンブース内の清浄度は確保したままで作業性低下を抑制
    エアカーテンによる区画化により、従来のクリーンブースの課題であった人や搬送装置の移動動線の妨げといった問題を解消し、作業性を高めることができます。クリーンブース内部は従来のクリーンブースと同等の清浄度を確保しています。
  2. 2低風速でのエアカーテンの構築
    エアカーテンの吹出し風速は1m/s以下の低風速であり、床面に堆積した塵埃の巻き上げはありません。また、エアカーテン直下においても気流感をほとんど感じることのない風速域としています。
  3. 3容易に清浄エリアを移動
    エアカーテン構築に求められることの多い床面での吸込み口が不要となり、必要なエリアへのクリーンブースの移動が容易に行えます。
  4. 4ニーズにあわせたアレンジが可能
    製造手法に合わせ、全面開口、1面のみの開口、あるいは製造ライン上に設置することを考えた2面開口(トンネル方式)と使用者のニーズに沿ったクリーンブースを構築できます。
  5. 5大幅な省エネ効果を実現 (下図参照)
    室面積10,000m2程度のクリーンルームを層流方式とする従来型と比較して、乱流方式クリーンルームに本クリーンブースを1,500m2適用することにより、利便性を損ねることなく約3割の省エネ効果が期待できます。

 今後は、電子デバイス製造施設の新築や改修などにおいて、省エネや低コストが求められるような、局所クリーン化を必要とされるクリーンルームに対して提案を行うとともに、医療施設、食品工場などさまざまな施設への適用を進めていきます。

  • 従来のクリーンブースと同等の清浄度
    本クリーンブース周囲の清浄度がISOクラス8(旧規格クラス100,000)の場合、クリーンブース内部はISOクラス6(旧クラス1,000)より高くなり、クリーンブース周囲と比べ内部が100倍以上高い清浄度となります。