トンネルの切羽前方をビジュアル化

−予測される地山状況に合わせた適切な施工管理を実現可能に−

2015年5月28日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、山岳トンネル工事における切羽前方の状況をビジュアル化し、不良地山が予測された場合、想定される位置を表示し、警告するシステムを開発しました。

 このシステムは、通常のトンネル工事で利用している坑内変位の計測管理を行うシステムに、当社が開発したトンネル天端傾斜計『TT-Monitor(Tunnel Tilt Monitor)』を用いた切羽前方地山予測手法を統合したものです。これにより、地山予測グラフの作成を自動化し、切羽前方の状況を迅速かつ直感的に判断できる画像と、数値データを共にひとつの画面上で確認することができるようになりました。

 このシステムを活用することにより、切羽前方の状況を探索するボーリングを効率的に計画・実施できる他、最適なタイミングで支保(トンネル周辺の地山を支える部材)のパターン変更や補助工法を計画することができ、施工の効率化や省力化、予測される切羽前方に合わせた適切な施工管理が行えます。

 今後、当社は、不良地山の出現が想定される山岳トンネル工事、地表からの事前調査が難しい大土被りのトンネルプロジェクトに本技術を積極的に活用して行く予定です。また、現在、NETIS(国土交通省が整備運用する新技術情報提供システム)への登録を準備中です。

トンネルの切羽前方をビジュアル化
  • トンネル天端傾斜計「TT-Monitor」を用いた切羽前方予測手法
    傾斜計(直径4.5cm長さ60cmの高感度タイプ)を、切羽近くの天端に5m間隔で設置し、計測作業はBluetoothによる無線通信でデータの送受信を行う。地山の分析作業が大幅に削減できるだけでなく、ケーブルやケーブル防護も不要となる。
    また設置もロックボルト施工時に、ロックボルトと同径の孔に差し込んで固定するため施工サイクルへの影響はほとんどない。
    トンネル掘削進行後に回収し再利用するためコスト負担も少ない。