VRと数値解析の連携による
新たな広域景観評価法を開発

−建設計画時の事前影響評価・合意形成に有効−

2015年2月3日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:山内隆司)は、VR(バーチャル・リアリティ)と温熱・気流などの数値解析を連携させて広域で景観を可視化できる評価システムを開発しました。

 当社はこれまで建築図面や地図情報を基に地形や建造物をVRシステム(注1)上に再現し、仮想空間内を自由に歩き回りながら、新築建物の景観をその場にいるかのような感覚で体感できる主観的な景観評価技術を開発してきました。
今回開発したシステムでは、計画施設に対して10kmスケールの広域で、任意の視点からの「見え方」を確認するとともに、排ガスなどによる白煙の発生が想定される施設の場合、温熱・気流解析により得られた白煙の挙動を組み合わせてVRシステム上で可視化し、客観的に評価することができます。

本システムの特徴は以下のとおりです。

  1. 1広域景観を評価するため、可視率(注2)という新たな指標を用い、検討対象地域が10kmに及ぶ広範囲であっても、膨大な視点からのパース等を作成することなく、計画施設がどこからどの程度見えるかを色や濃淡の変化により一目で把握できます。
  2. 2VRで用いた建物や地形データをそのまま取り込み、温熱・気流の数値解析により白煙などの現象を的確に予測し、VRシステムで可視化して景観評価を行います。また、風や気温など季節ごとの気象条件を考慮した数値解析結果を短い処理時間で反映させることができます。
  3. 3建物や施設の計画立案における有効な評価法となるとともに、建築主、設計者、近隣の方々などの様々な関係者間での合意形成に役立ちます。

 今後は、本システムを工場、競技場、商業施設、大規模なプラント施設などの建設計画の初期段階から事前影響評価に活用していくとともに、自然公園内や景勝地の近くでの建築計画における景観配慮ツール、建物・施設の外観デザインや広告物等の「見せ方」を検討するツールとしても適用していきます。

VRと数値解析の連携による新たな広域景観評価法を開発
  1. 注1当社のVRシステムは、幅4.2m×高さ2.4mの大型スクリーンを使用し、液晶シャッター眼鏡を使って立体視かつ実物と同じスケールで建物や都市を再現し、あたかもその場にいるような感覚を体感できます。また5.1ch及び7.1chの音響システムとも連動しており、視覚と聴覚を融合させた立体空間を仮想体感できるシステムです。
  2. 注2可視率とは、計画施設が、地形や他の建物等に隠れて全く見えない状態を0%、隠すものが無く全体が見える状態を100%、とした計画施設がどの程度みえるかを示す指標です。