電化フロア電動カートの開発

〜走行中の電動カートにワイヤレスで連続給電可能〜

2014年9月25日
大成建設株式会社
国立大学法人豊橋技術科学大学

 大成建設株式会社(社長:山内隆司)は、国立大学法人豊橋技術科学大学(学長:大西隆)と共同で屋内を走行する搬送システムなどの電動カートに対して建物の床からワイヤレスで電力を供給できる「電化フロア電動カート」を開発しました。

開発の背景

近年、省エネや環境への配慮の観点から電気自動車(EV)の普及が望まれています。しかし、バッテリーを搭載しているEVは、走行距離が短い、充電時間が必要、価格が高いなどの課題がありました。これらの課題を解決する手法として、豊橋技科大は高周波電力がゴムなどの絶縁体に流れることを利用したワイヤレス給電式電気自動車の開発を進めてきました。しかし、高周波電力を利用するための電極線路の安全性や効率に課題があり、実用化に至っていませんでした。
そこで、大成建設は、豊橋技科大と共同で、電動カート及び建物床材、高周波電源装置を一体化し、電動カートにワイヤレスで給電可能な電化フロアを開発しました。なお電動カートはワイヤレス給電式電気自動車の原理を応用しました。
一方、電化フロアは構成する1.コンクリート系・アスファルト系の床材、2.電極線路、3.金属箔などの部材を適切に組み合わせることで電力エネルギーを効率的に電動カートに送ることが可能となりました。

有人走行実験に成功

このたび大成建設は、豊橋技科大と共同で屋内を走行する搬送システムなどの電動カートに対して建物の床からワイヤレスで電力を供給できる「電化フロア電動カート」を開発し、本システムを使い国内で初めて人が乗車した走行中の電動カートにワイヤレス給電することに成功しました。

本システムの特長

  1. 1電化フロアを適用することで、電動カートへの充電やバッテリーの搭載・交換が不要となる。また、連続走行が可能となるため、走行距離の課題が解決します。
  2. 2電化フロアは特殊な建材ではなく一般建築部材で構成されるため、容易に安価に設置することができる。
  3. 3電化フロアの床仕上げはアスファルト系部材、コンクリート系部材のいずれかが選択でき、生産施設や物流施設などの幅広い用途に利用可能です。また、新築だけでなく既存床上にも適用できます。

今後の展開

今後は、本技術を実用化し、生産施設や物流施設など屋内で利用する電動搬送システムとして積極的に技術提案していく予定です。また、有人走行実験に成功した電化フロア電動カートを10月7日から10月11日に開催されるCEATEC JAPAN 2014へ出展する予定です。
さらに、本技術は総務省の戦略的情報通信研究開発推進事業ICTイノベーション創出型研究開発(SCOPE)「電化道路電気自動車の実現に向けた電動カート走行中給電の原理実証実験」に採択されており、電化道路の実現に向けて引き続き研究開発を続けていきます。

電化フロア電動カートの開発