省エネルギーと快適性を両立したタスク・アンビエント空調システムを開発

75%エネルギー削減に向け、技術センターZEB実証棟にて検証開始

2014年6月13日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:山内隆司)は、大幅な省エネルギーと快適性を両立する「超省エネ型タスク・アンビエント空調システム」を開発し、技術センター(横浜市戸塚区)に建設する「ZEB実証棟」へ導入します。ZEB実証棟全体での試算では、他の空調負荷削減技術の効果も含め、一般のビルと比較して約75%の空調エネルギーを削減する見込みです。

 政府が2020年の新築公共建物でZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の実現を目指していることもあり、近年ZEBの実現に向けた省エネ・創エネに関するシステムが盛んに検討されるようになってきました。
一方で、オフィスビル全体の消費エネルギーに占める空調消費エネルギーの割合は、約4割と言われています。ZEB実現のためには、空調エネルギーの更なる削減が必達課題となっています。

 そこで当社は、従来の空調システムと比較して大幅な省エネルギーと快適性を両立する「超省エネ型タスク・アンビエント空調システム」を開発しました。
本システムは、人が作業している領域である「タスク」と、その周辺の空間領域である「アンビエント」とを別の仕組みで空調し、全体を効率的かつ快適にコントロールするものです。
タスク空調については、温度・湿度の調整が可能なパーソナル空調ユニットと、自動開閉のパーソナル吹出口から構成されています。在籍状況を自動的に検出し、人がいる領域のみ吹出口が自動で開き、適切な外気導入量を制御します。
一方、アンビエント空調は、天井コンクリートスラブに埋め込んだ配管に冷水を循環させることで部屋全体を放射空調する方式を採用しました。循環させる水はZEB実証棟内に設置する燃料電池(注1)の排熱温水の熱エネルギーを利用して冷房します。また、部屋を暖めたい場合は、排熱温水をそのまま循環させ、暖房とすることも可能です。
これらタスク空調の自動制御による効率化とアンビエント空調の排熱エネルギー利用により、ZEB実証棟の空調消費エネルギーが大幅に削減されることとなります。
また、「タスク」空調では各人がPCの操作により吹出風量を調整可能となっているため、省エネを達成しつつ個人の好みに応じられる、快適な空調が可能です。

 ZEB実証棟では、本システムと高効率照明など空調負荷そのものを削減する省エネ技術を導入することで、一般のビルに比して75%の空調エネルギーを削減する見込みです。

 今後当社は、本システムの検証結果をもとに、さまざまな省エネルギービルへの提案を行っていきます。

  1. 注1ZEB実証棟では「燃料電池」を導入し、発電の際に発生する排熱を空調に利用します。導入する燃料電池は、三浦工業株式会社(社長:髙橋 祐二)がNEDOの補助金を受けて実用化実証中の固体酸化物形燃料電池(SOFC)で、実証実験として電力と排熱を建物に供給します。