コンクリートがれきを処理・資源化

−宮城県気仙沼処理区災害廃棄物処理業務で実施適用−

2014年4月15日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:山内隆司)は、東日本大震災で発生したコンクリートがれきの有効活用技術を開発、このたび宮城県発注による気仙沼処理区災害廃棄物処理業務にて実施適用いたしました。
今回の実施適用は、コンクリートがれきの迅速な処理と資源化による、被災地の環境回復と復興に資することを目的としております。

 本技術は、通常のコンクリートが材料とする天然の砂や砂利(骨材)の代わりに、震災によって発生した津波堆積物を含んだコンクリートがれきを、できるだけ簡便な方法によって建設資材であるセメント固化体(注1)として資源化するものです。
具体的には、コンクリートがれきを扱いやすい径80mm程度の大きさに破砕し、粒度調整は行わずに、水やセメントと混合し、コンクリートの基材として土木構造物などに適用します。砂分に応じた水とセメントの最適な配合比率を独自に構築しているため、がれきの性状に大きく影響されることなく、常に安定した品質を提供できます。
特徴は、本技術を適用し構築した構造物が不要となり解体した後、解体により発生したがれきを、再び本技術を用い資源化し、別の構造物へ適用するといった「骨材の循環」が可能である点です。また、この「骨材の循環」は、大掛かりなプラントを必要としないため、同一場内でも可能です。

 今回の気仙沼処理区災害廃棄物処理業務ではまず、2013年11月中旬に焼却炉解体のため全体を覆う大型の仮設テントの基礎コンクリート代替材として、本技術によるセメント固化体を約70m3適用しました。続いて、焼却炉解体が完了した2014年2月下旬にはこの基礎コンクリート部分を撤去、破砕処理を行い道路用の再生砕石として再利用しました。
このように、本技術を適用することにより、迅速なコンクリートがれきの処理はもちろん、リサイクル・リユースによる骨材資源の良好な循環が構築され、天然骨材の省資源化に寄与すると同時に、作業の効率化、省力化による作業環境の向上と省エネルギー化が図れます。
また、従来の再生骨材を利用した場合に比べ、コンクリートがれきの処理と再生利用に要したコストは2/3〜1/2程度、時間は1/2〜1/3程度となっています。

 本技術は震災復興関連事業だけでなく、一般の建設現場等で発生したコンクリートがれきにも幅広く適用可能なことから、今後は更なる省資源化への貢献が期待されます。

  1. 注1セメント固化体
    再生された本材料は、主に路盤材として用いられる再生砕石や、JISで定められた再生骨材を使用したコンクリートに対し、処理と再生利用に要するコストと再生材料としてのグレードがそれぞれの中間的な位置付けとなります。圧縮強度15N/mm2以下の範囲で、任意の強度を提供できます。
本技術の位置付けと用途例
気仙沼処理区での適用状況
焼却炉解体用仮設テント、施工後のセメント固化体