既存天井の落下防止技術「T-Ceiling Grid」を開発

—供用中の天井も、短期間で耐震化を実現—

2013年10月3日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:山内隆司)は、日栄インテック株式会社(社長:高橋善晴)と共同で、従来の工法と比較して、短期間かつ低価格で施工可能な既存天井の落下防止措置技術「T-Ceiling Grid(ティーシーリンググリッド)」を開発しました。
今後ますます高まると予想される、BCPや安心・安全の確保のため、天井の落下防止の対策を講じたいというニーズに対応していきます。

 既存天井の落下には、ボードのビス抜け、クリップの爪の開きや破断、ハンガーの爪の開きや破断、吊りボルトの破断、アンカーの引抜けなど様々な原因があり、天井の落下を防止するにはこれら全ての事象に対応する必要があります。また一方では、部屋を供用しながら、かつ短時間での工事を求められるため、簡便でかつ信頼性の高い工法が必要となります。

 このような状況に対応するために、当社では新たに設置する鉛直支持材と既存天井下部に配置する軽量なアルミ製水平材で構成する、既存天井の落下防止措置技術「T-Ceiling Grid」を開発しました。

 この工法では、ほとんどの場合、室内からの作業が可能で、かつ既存天井を解体することなく、天井の落下防止措置が可能です。室内から仕上材に小さな穴をあけ、その穴から上階スラブにあと施工アンカーを打ち込み、新たに鉛直支持材を設置して、最後にアルミ製のフレームを天井下に取り付けます。

万一天井が落下しても下まで落とさない構造

「T-Ceiling Grid」の特徴としては、以下の掲げる「1.簡便な施工」、「2.高耐力」、「3.デザインの柔軟性」の3つがあげられます。

  1. 1簡便な施工
    • 一般的な工法に対して、コストは1/2〜1/3に低減、工期は1/6に短縮。
    • 既知技術の単純な繰り返し作業で工事が完了するため、作業に関わる業種が少ない。
    • 施工単位(面積)が狭くても作業性は変わらないため、1)居ながらの工事に最適、2)間仕切りが多く複雑な室形状にも対応可能、3)施工単位が小さくてもコストや延べ工期への影響(増要素)が少ない。
  2. 2高耐力
    • 平成25年8月の国土交通省告示、同年9月の技術基準の解説に準拠した構造。
    • 落下防止措置の主要部材である鉛直支持材が躯体もしくは準構造部材に緊結されており、告示で明記されている「構造耐力上主要な部分等に伝えることができる構造」である。
    • 施工時に、構造体に打ち込むあと施工アンカーの引抜き試験を義務化して、構造耐力上主要な部分(コンクリート躯体、鉄骨母屋、鉄骨ぶどう棚等)の健全性を確認することを標準化すると共に、引抜き耐力についても設計耐力の10倍程度を有することを確認。
    • 鉛直支持材(吊りボルト)の躯体接合部をピン構造とし長時間および繰返しの地震動による破断を防止。
    • 天井重量や設備配置など既存天井の設置条件による部材断面や配置を定量的に評価・設定できる。
    • 衝撃落下試験でユニット全体としての性能も確認済み。
  3. 3デザインの柔軟性
    • 水平材の配色により、同化させることも強調することも可能。
    • 照明、設備機器を避けて設置可能。
    • 点検口はジョイント設置により開閉可能。

 「T-Ceiling Grid」は様々な用途の施設に適用可能であり、例えば学校の教室や廊下、病院の病室、オフィスビルの執務室、工場の生産室、ショッピングセンター等の商業施設、空港・鉄道・港湾等の施設等への適用を考えております。特に安全上またはBCP戦略上重要であっても、供用中であるなど制約条件が多く、施工が難しい施設への適用を図っていきます。

 当社では、既存の天井耐震化技術と合わせて、お客様の様々な用途・規模の天井に対して最適な提案を行っていきたいと考えています。