施設計画のより早い段階から生物多様性に配慮

−生物多様性簡易評価ツール「いきものコンシェルジュ」を開発−

2013年8月5日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:山内隆司)は、「地域の生物多様性に配慮した空間づくり」を実現するために、施設計画地を訪れる可能性のある“いきもの”を示すなどの簡易評価ツールとして『いきものコンシェルジュ』を開発。大成建設が関わる多くの施設計画提案において積極的な活用を開始しています。
日本では2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を契機に生物多様性に対する社会の関心が高まり、今や生物多様性への配慮は環境配慮型の施設計画を行う上で欠かすことのできない要素のひとつとなっています。
生物多様性に配慮した施設計画を行うには、緑地や水辺などの環境構成要素の規模や配置について、早い段階から検討することが重要です。そのために事業に携わる関係者がその方向性や方針を決める上で必要な情報を迅速に入手することが求められます。
大成建設では、計画を支援する生物多様性の簡便な評価ツールを2012年秋に開発。その後、より利便性を高め使いやすいものとするために改良を重ね、本年春より「いきものコンシェルジュ」として顧客への積極展開を開始いたしました。
今後、この評価ツールをより早い段階から活用していくことで、地権者や事業者の皆様とコミュニケーションを図り、地域の生物多様性に配慮した施設づくりに役立ていきたいと考えています。

技術の概要

 周辺環境(Step1)と計画地内の環境(Step2)を把握・評価し、その相互の関係性から飛来可能な生物の種類を予測することで生物多様性の評価(評価結果)を行います。

Step1:周辺環境を評価

 樹林地や草地などの緑地や水辺など,生物の生息環境として重要な要素について,計画地周辺におけるその面積や分布状況などの環境構成を把握し、周辺環境を簡易に評価します。環境省の自然環境基礎調査データや衛星画像データ等、入手の容易な既存データに基づいて簡易評価を行えるため、安価かつ短期間で実施することが可能です。

周辺環境を評価

Step2:計画地内環境評価

 計画地内の環境構成要素を,チェックシートを用いて把握します。チェックシートは,大きく「樹林編」「草地編」「水辺編」の3つにより構成され、それぞれの環境要素の有無,及びおおよその規模について把握・評価を行います。

計画地内環境評価

評価結果:いきものの多様性

 計画地に飛来可能な生物の種類の多様性をもって環境の多様性を示します。予測結果を基に、多様ないきものが住める環境づくりをご提案します。

いきものの多様性