建築基準法に示された柱の高さ/径比15を超える超高強度RC長柱の実用化

−コンクリート強度100〜300 N/mm2範囲における実証と評価法の確立−

2012年12月20日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:山内隆司)は、この度、先進コンクリート技術T-RC+の新たな構法として、超高強度コンクリート(圧縮強度100〜300 N/mm2)を用いた超高強度RC長柱Tas-Fine(Taisei smart Fine column)を実用化しました。独自の性能評価法を確立したことで、建築基準法に示された高さ/径比15を超える長柱の設計および施工を可能とし、その結果、今まで以上に見通しの良い大空間を実現できます。

建築基準法では、原則としてRC柱の高さ/径比に関して、その値を15以下にするように規定されていますが、今回開発したTas-Fineは、実験および解析による各種検証を実施することで、高さ/径比15を超える長柱の性能評価法を確立しました。また、国内で初めてコンクリート強度の適用範囲を100〜300 N/mm2に拡げました。
Tas-Fineは、免震、制振または連層耐震壁等と組合せることによって、建物の常時荷重や地震時上下動による鉛直荷重を主に支える部材とし、地震時の水平荷重を負担させない部材としての設計法を構築しました。さらに、損傷を低減するための新たな接合構法(特許出願中)を開発し、大地震においても無損傷で復元性の高い長柱を実現しました。

Tas-Fineの主な特徴

  1. 1超高強度コンクリートを使用することにより、大きな鉛直荷重を細い断面で支えることが可能。床や梁等との接合に弾性状態での変形追従性を向上させた独自の接合構法を用いることで、地震時に柱の損傷を大きく低減することができる。
  2. 2RC長柱では、大きな鉛直荷重を受ける場合、ある限界を超えると柱の中間部分が横方向に急に曲がり崩壊する現象(以下、座屈破壊)が起こるが、Tas-Fineでは、検証データを基にこの座屈破壊を起こさない地震時および火災時の安全設計が可能。
  3. 3前述した(1)および(2)の技術確立によって、複数階吹抜けの大空間(エントランスホール等)を有する高層RC建物や、梁のない面積の大きい床を細い柱のみで支えた見通しの良い大空間を実現できる。

 弊社では、今回のTas-Fineの実用化にあたって、柱の高さ/径比20で、世界最高強度の大成スーパーコンクリート(300 N/mm2級)を用いたRC長柱の耐震実験を公開しました。今後も実験・解析に裏付けられた多くの最新技術を世の中にご提案することで、安全・安心なサステナブル建築の実現に邁進する所存です。

これまでの適用範囲と今後のターゲット
これまでの適用範囲と今後のターゲット