津波を受流す「減災」冷凍冷蔵施設を設計・施工

− レベル1津波から「建物」と「財産」を守る −

2012年11月1日
大成建設株式会社

 大成建設(株)(社長:山内隆司)は、津波対策型冷凍冷蔵施設を設計・施工し、この度完成しました。

宮城県女川町に建設されたこの施設は、レベル1津波(100年に1回程度の発生回数を想定したレベルの津波)に耐えることができます。
この建物の機能として画期的なのが、津波の圧力から建物を守るため、津波を受けた1階の外壁が外れ、津波の力を受け流すという新構造システムを採用したことです。

この機能と併せ、2階の床レベルを8.5メートルとすべく長い柱を1階に並べ、1階をピロティ形式としたこと、また、1階柱の鉄骨を鉄筋コンクリートで覆い、津波対流物の衝撃にも対抗できる強固な構造を確保したこと、さらには地盤表土がえぐられた場合でも転倒しないよう杭を通常よりも深く打ち込むことにより、2階以上に置く冷蔵庫などの主要設備が高さ6メートルの津波でも浸水から免れる性能を実現しました。

一方、施設の避難性も重視しました。建物内の避難ルートを日常動線と一致させ、迅速な屋外避難を確保しています。
このほか被災直後の復旧活動も想定しており、復旧に欠かせない設備や物資置き場を最上階に集めました。具体的には飲料水用タンク(容量6トン)、電気設備室、備蓄倉庫、居室(20人〜30人用)を最上階に配置しました。

これらの技術と経験を通し、当社は今後も復興を願う方々の情熱に対し、安全安心を提供することで応えていきたいと考えております。

MASKAR(多機能水産加工施設)概要

発注者 女川魚市場買受人協同組合
所在地 宮城県牡鹿郡女川町石浜字高森155-1
最高高さ 22.95m
構造 S造 一部SRC造
延床面積 6,932.49m2
冷蔵庫 約6,000t
凍結庫 約50t
津波を受流す「減災」冷凍冷蔵施設を設計・施工