ダムICT総合管理システム「(仮称)4D-DIS」の開発

大規模施工に効果を発揮! IT技術で工程・品質を完全管理

2011年7月11日
大成建設株式会社

 大成建設(株)(社長:山内隆司)は、ダムの施工を総合的に管理する、ダムICT総合管理システム「(仮称)4D-DIS」(4D-DIS:4 Dimensions - Dam Information Service)を開発、実際のダム建設工事に適用しました。
近年、土木分野でも合理化施工と品質保証を視野に、施工のIT化が注目されています。国土交通省では施工技術の革新を目指し、ICTによる情報化施工推進会議を設置し活動されています。
そこで、当社では従来の情報化施工を一元化するダムICT総合管理システム「(仮称)4D-DIS」を開発し、内閣府沖縄総合事務局(北部ダム事務所)発注の世界初の台形CSGダム(Cemented Sand and Gravel:砂礫にセメントを混合させた材料で構築したダム(財)ダム技術センター開発)である億首ダム建設工事に適用、運用しています。
従来の情報化施工では、GPSやトータルステーション(以下TS)を用いた、1)ブルドーザ敷均し作業のマシンコントロール、2)バックホウ法面整形のマシンガイダンス、3)転圧ローラの締固め管理、4)これらに必要なマシンデータ作成のための3D-CAD、5)TS出来形管理、といった範囲に限定されていました。
「(仮称)4D-DIS」は、従来の情報化施工に加え、台形CSGダムの施工管理に必要な以下のサブシステムを開発しました。

  1. 1母材の収集〜ストックヤードへの蓄積管理
    ICタグと情報化施工による母材運搬・仮置き管理、母材採取管理のシステム。
  2. 2CSG材トレース管理
    プラントで製造した材料の配合、荷降ろし位置、敷均し状況、転圧開始時間などをリアルタイムに監視・管理する材料トレースシステム。
  3. 3ローラ転圧に加え、法肩転圧をも含めた締固め管理
    複数台の転圧ローラの転圧回数管理に加え、CSG法肩部の位置と締固め累積時間を管理するシステム。

このような上記1〜3の収集データに加え、材料試験・気象・設計データなどを含めて、座標と時間(X,Y,Z,T)で一元管理する統合データベース&ツールシステムが、今回開発したダムICT総合管理システム「(仮称)4D-DIS」です。

 本システムは構造物をエレメント(最小50cmの立方体)単位で管理し、そのエレメントに関わる様々な施工情報を短時間で一括検索・帳票化します。
また、億首ダムにおいて「(仮称)4D-DIS」を導入するにあたり、情報共有による監督業務の効率化、施工・品質管理の情報管理について発注者である内閣府北部ダム事務所と共同開発し、施工情報をリアルタイムで発注者・施工者間で共有しています。また、本システムは、従来の一般的な情報化施工に加えて、

  • 品質保証の確立(どの部分が、どのような材料・状況で、どのように施工されたかを自動的にデータベース化→構築物の詳細データ提供→施設運用開始後の維持・管理への利用)
  • 監督・監理業務の効率化(施工中のトラブル早期対応、施工後のトラブル原因追及、監督業務の省力化)
  • 情報共有化(発注者・施工者間のワンデーレスポンス、工法変更の迅速化と省力化)
  • 電子納品対応(顧客ニーズ対応、省力化)

など新たなメリットが付加され、一定の成果を得るとともに、更なる利用範囲の拡大も期待されるところです。
さらに、施工情報全般のデータ収集・蓄積・検索によるリアルタイムな情報共有が可能となり、施設運用への移管後の維持・管理にも活用することで、国土交通省の方針に則ったICTによる総合的な品質管理と効率化が図られるものと考えています。

 当社では、今後もさらに全般的な情報を組み込み、「総合管理システム」として発展させていくだけでなく、ダム以外の大規模施工分野への適用拡大なども視野に入れ技術開発を進めてまいります。

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