4床病室用簡易型パーソナル空調システムの開発

2011年5月10日
大成建設株式会社

 大成建設(株)(社長:山内隆司)は、4床病室向けの簡易型パーソナル空調システムを開発しました。従来のパーソナル空調方式に比べ設置コストを大幅に削減し、大規模な病院から小規模な病院までも採用可能なシステムです。
医療法改正により病床数が削減される一方、多床病室においても個室と同等な入院環境を求める要請は高く、病室内の快適性を高める空調などの設備機能の向上も求められています。そこで今回、病室環境の改善と設置コストの削減という従来からの課題を解消する多床病室用パーソナル空調システムを開発しました。

特長

(1)1個の吹出ユニットのみでパーソナル性の実現が可能

多床病室における入院患者さんの快適性の要求を満足するために、従来から4床病室用のパーソナル空調システムがありました。これまでの従来の4床病室用パーソナル空調システムでは、冷温水を使用する専用の空調機、個人用の吹出口および個別のコントローラーが必要となるため、採用可能な病院規模が限定されるとともにコスト高となる問題がありました。本システムは病院の一般的な空調方式を利用し、1個の吹出ユニットを接続するのみで4人の入院患者さんに個別に、同時に供給することができ、従来の機能を満たしながらローコストを実現しています。本システムは、様々な規模の病院にも設置が可能なシステムです。

(2)省エネルギー性の向上と空調環境の改善

  1. 1各ベッドへ空調空気を供給する円形の吹出口は、天井面に沿った気流を実現する水平吹出方式を採用しています。吹出口の誘引効果を利用し、吹出空気の到達距離と温度を制御できるシステムで、周囲温度よりベッド上の温度を約1℃下げることが可能となります。
  2. 2本システムは吹出ユニットを病室中央に配置していますが、カーテン上部のメッシュ部分に気流を通過させることができ、カーテンの開閉による空調効率には影響をおよぼしません。
  3. 3到達する気流は十分減速し、ベッド上では微風速となっており、患者さんに不快感を与えない空調としています。患者さんによって、微風速でも不快さを感じてしまう場合には、回転可能な吹出口による方向調節で気流感をなくすことも可能です。
  4. 4新鮮な外調空気をベッド方向に供給するため、ベッド周りの空気が病室通路部の空気よりも新鮮に保たれます。さらにベッド脇から排気することにより、ベッド周りの臭いの拡散を低減します。
  5. 5本システムは2014年竣工予定の愛媛県立中央病院(823床、内4床病室は115室=460床)に採用が決定しています。

 本システムの設置イニシャルコストは、従来の4床病室用パーソナル空調システムに対して1室あたり約20万円削減可能としました。全国の急性期病床や療養病床、老健施設等約230万床の内80〜90%が4床病室と考えると、大きな市場規模が想定されます。

 本システムの採用によって、イニシャルコストを抑えつつ病院の付加価値を向上させることが可能となり、競争が激化する病院経営の一助となると考えています。
当社では、入院生活をより快適にする本システムを、今後積極的に提案してまいります。

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