国内最高強度のコンクリート充填鋼管柱を開発

−超高層ビルの低層部分に、ゆとりある大空間を実現−

2009年7月16日
大成建設株式会社

 大成建設(株)(社長:山内隆司)は、この度、国内最高強度のコンクリート充填鋼管柱を開発いたしました。これにより、実現が非常に困難であった、大スパンを有する大型ビルの低層階での柱断面の縮小や柱本数の集約が可能となり、ゆとりある大空間を実現することができます。

コンクリート充填鋼管(CFT)柱とは、圧縮に強いコンクリートと曲げに強い鋼管の特長を活かして、中空鋼管の内部にコンクリートを充填した構造性能に優れた柱部材で、高層から超高層まで最近の多くの建物に用いられています。コンクリート充填鋼管に使用する材料は、鋼材強度は490N/mm2鋼、充填コンクリートの強度はFc60とするのが標準的であり、高強度材料の場合でも鋼材強度は590N/mm2鋼まで、充填コンクリートの強度はFc100までがこれまでの適用範囲とされていました。
さらに強度の高いコンクリートを鋼管に充填するためには、コンクリート硬化時の収縮を少なくする技術開発が必要となり、より強度の高い鋼材を使用するためには、特別な溶接管理方法を設定する必要がありました。また、これらの高強度材料を組み合わせたコンクリート充填鋼管柱の強度に関しては、従来からの評価式の妥当性を検証する必要がありました。弊社では、材料試験、構造実験、数値解析を数多く行い、高強度材料に関するデータを蓄積することにより、従来の強度を上回る780N/mm2鋼の超高強度鋼にFc150の超高強度コンクリートを充填した国内最高強度のコンクリート充填鋼管柱を開発しました。
本柱部材を使用するメリットとしては、以下のとおりです。

  1. 1強度の高い材料を用いることで、大きな建物重量を余裕を持って支持できる。
  2. 2大地震の際の大きな変形まで無損傷(弾性)を維持できる。
  3. 3鋼材とコンクリートの限界ひずみがほぼ等しいので、両者の力学性能を最大限に発揮させることができる。

これらのことから、以前は実現が非常に困難であった大スパンを有する大型ビルの低層階での柱断面の縮小や柱本数の集約が可能となり、ゆとりある大空間を実現することができます。また、従来の鋼材を用いる場合と比較して、鋼材の板厚を薄くできるので、柱部材の製造・運搬・現場施工を合理化することができます。
尚、本柱部材は今秋着工予定の東京都内大型プロジェクトにおいて、下層階の10本のCFT柱に実施適用いたします。

 今後、弊社では本柱部材を、これから計画される超高層建物や他の大型プロジェクトにも積極的に活用して参ります。

以上

従来技術との違い
従来技術との違い